10人に1人!?卵アレルギーについて解説します🥚
皆さんこんにちは、カーサファミリークリニックです🏠
今回は、特に小さなお子さんに多い、卵アレルギーについてお話します🥚
卵アレルギーは大きく分けて、即時型アレルギーと消化管アレルギーがありますが、今回は即時型アレルギーについて説明します。
卵アレルギーとは?
卵アレルギーは、乳児期から幼児期にかけて最も多い食物アレルギーのひとつです。即時型の卵アレルギーは、特に卵白(白身)に含まれるタンパク質に反応します。
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オボムコイド(加熱しても残りやすい):血液検査で調べることができます
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オボアルブミン、オボトランスフェリン、リゾチーム
加熱が弱いもの(例:半熟卵、マヨネーズ、プリン、カスタードなど)や卵料理(例:オムレツ、炒り卵、卵焼きなど)は卵の中でもアレルギー症状がより出やすく、注意が必要です。
どれくらいの頻度?
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日本では、1歳児の約10%が卵アレルギーを持っているといいわれています。
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アトピー性皮膚炎(長引く湿疹)のあるお子さんに合併していることが多いです。
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一方で、学童期までに約70〜80%が自然に治る(耐性を獲得する)= 食べられるようになることが多いといわれています。
診断方法:血液検査と食物経口負荷試験
診断には複数の情報を組み合わせて慎重に行います。
1. 問診・症状の確認
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卵を食べたあとに、皮膚症状(じんましん、かゆみなど)・消化器症状(嘔吐・腹痛・下痢など)、呼吸器症状(咳・呼吸困難など)、神経・循環器症状(眠気・ふらつき・意識の低下など)の症状が出たか(詳しくは食物アレルギーについて参照ください)
- 卵を食べてからどれくらいの時間で症状が出たか
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どのような形態(ゆで卵、加工品など)でどのくらい食べたか
- 体調不良や疲労はあったか、など
2. 血液検査(特異的IgE抗体)・皮膚プリックテスト
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卵白やオボムコイドに対する特異的IgE抗体の量を測定します。
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数値の目安:
陽性判定(クラス1以上)=0.35 kUA/L 以上
実際の測定範囲=<0.1~100 kUA/L -
ただし、血液検査の陽性=アレルギーと診断されるわけではありません!
❗数値が高いほどアレルギーの可能性は高まりますが、症状が出ない人もいます。そのため、しっかりとした診断には食物経口負荷試験が必要になります。
- 乳児では、血液検査ではっきりしないことがあるため、必要に応じて皮膚プリックテストを行います。
3. 食物経口負荷試験
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医療機関で卵を食べてみるテストです。当院でも食物経口負荷試験を行っています。
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診断の確定や、どの程度食べられるかの判断に役立ちます。
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アナフィラキシーの既往がある方など重症な場合は、医師の判断により専門医療機関を紹介します。
治療:除去は必要最小限に
必要な除去は行いつつ、食べられる範囲はできるだけ維持することが重要とされています。(食物アレルギー診療ガイドライン2024より)
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アレルギーがあるからといって完全除去する必要はないケースも多くあります。
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医師の管理下で、少しずつ食べていくことで、食べられる食品が増え、食物アレルギーが少しずつ治っていくことが期待できます。(詳細は食物アレルギーを参照ください)
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ただし、アレルギーの重症度は患者様によって様々であり、個々の対応が必要です。
当院でできること
当院では、以下のような対応を行っています。
まとめ
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卵アレルギーは早期発見と正確な診断が大切です。
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血液検査だけでは診断できないため、症状や検査結果を総合的に評価します。
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除去は必要最小限とし、家族みんなで食べられるものを増やすことを一緒に目指す診療を大切にしています。
ご相談はいつでもお気軽にどうぞ。Web予約が可能です。
卵アレルギーQ&A
Q1. 卵アレルギーがありますが、インフルエンザワクチンやMR(麻しん・風しん)ワクチンは受けても大丈夫ですか?
A1. はい、基本的に接種可能です。
インフルエンザワクチンについて
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インフルエンザワクチンは、ワクチンの製造過程でごく微量の卵由来成分(オボアルブミン)が含まれることがあります。しかし現在のワクチンでは、その含有量はごく少量であり、多くの卵アレルギーの方に安全に接種できることがわかっています。
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日本小児アレルギー学会やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)も、アナフィラキシー歴のない卵アレルギーの方は通常通り接種可能としています。
MR(麻しん・風しん)ワクチンについて
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MRワクチンにも、製造過程で卵由来の成分がわずかに含まれることがありますが、実際には卵アレルギーによる重大な副反応の報告はありません。そのため、卵アレルギーの有無にかかわらず、通常通り接種して問題ありません。
Q2. 子どもが卵アレルギーと診断されました。保育園や幼稚園には伝えた方がいいのでしょうか?
A. はい、必ず伝えてください。
食事や調理環境、接触などで症状が出ることがあるため、園での安全な生活を送るうえで正確な情報共有がとても大切です。
多くの園では、「生活管理指導表(アレルギーの指示書)」の提出が必要になります。医師が作成しますので、指定の書式の書類を持参してください。
園に伝えることでできること
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給食やおやつの除去・代替食の対応
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誤食を防ぐための配膳・管理の工夫
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アレルギー症状が出た時の迅速な対応マニュアルの整備
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エピペン(処方されている場合)の管理や使用方法の共有
参考文献:食物アレルギー診療ガイドライン2021、2024