【気管支喘息とは?】子どもから大人まで知っておきたい基礎知識
こんにちは、カーサファミリークリニックです。
今回は「気管支喘息(ぜんそく)」について、まとめてみました。お子さんに多いイメージがありますが、大人でも発症することがある身近な病気です。
気管支喘息とは?
気管支喘息は、気管支に慢性的な炎症が起こっている状態です。そのため、ちょっとした刺激で気道が狭くなり、呼吸がしにくくなったり、咳やゼーゼー(喘鳴)が出たりします。
これは一時的な症状ではなく、慢性的な疾患です。日頃からの管理と予防がとても大切です。
症状
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夜間〜明け方に咳が出る
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息を吐くときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする(喘鳴)
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息苦しさや胸のつかえ
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激しい運動後や風邪の後に咳が続く
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咳が何週間も長引く(咳喘息の可能性も)
お子さんの場合、初めは風邪と見分けがつきにくいこともあります。3歳ごろまではゼーゼーしていても、以降は無くなる人もいれば、一方で、3歳ごろからゼーゼーが始まる人もいます。
喘息の原因
喘息の原因(誘因)はさまざまです。
ハウスダスト(ほこり・ダニ・カビ)
花粉
ペットの毛
風邪(ウイルス感染)
運動・冷たい空気
タバコの煙
ストレスや疲労
また、アレルギー体質のある方に多く見られます。家族に喘息やアレルギーがある方も要注意です。
喘息の検査(スパイロメトリー)
吸ったり吐いたりする呼吸の「強さ」や「量」を調べる検査です。喘息があると、息を吐き出す力が弱くなっていたり、息が出にくくなっていることがあります。
6歳以上のお子さんから検査できます。
喘息の診断・重症度の評価・薬の効果確認に有効です。当院で実施することができます。
治療
発作を予防する治療
喘息は慢性的に気道が炎症を起こしている状態です。発作がない時でも炎症はくすぶっており、毎日の治療でこの炎症を抑える薬を「コントローラー」と呼びます。
- 吸入ステロイド薬(ICS)
▶ 毎日吸うことで気道の炎症を抑える、最も基本の治療。 - 吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬(ICS/LABA)
▶気道を広げて呼吸を楽にする効果もあります。 - 吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬+長時間作用型抗コリン薬(ICS/LABA/LAMA)
▶ICS+LABAをしっかり使っていても、症状が良くならない時に使います。 - ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
▶ アレルギー反応を抑える内服薬。花粉症などのアレルギーがある方にも有効。 - 生物学的製剤
▶重症喘息の場合に使用します
効果をしっかり出すためには、毎日継続して使用することがとても大切です。
症状が出たときの治療
発作時や急にゼーゼー・息苦しさが出たときには、症状をすばやく和らげる治療を行います。
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短時間作用型β2刺激薬(SABA)
▶ 息苦しくなったときに吸入(内服)する。即効性があり、気道を広げる。 -
ステロイドの内服や点滴
▶ 強い炎症を一時的に抑えるため、短期間のみ使います。
生活上の注意点
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ほこり・ダニ対策(こまめな掃除、布団の管理)
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ペット飼育
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禁煙(本人・家族)
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定期的な通院と薬の継続
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風邪をひいたら早めの対応
特にお子さんの場合、「元気に見えるから」と治療をやめてしまうと、再発や重症化することもあります。治療については、必ず主治医と相談してから決めましょう。
小児と成人の喘息のまとめ
小児の喘息 | 成人の喘息 | |
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発症年齢 | 乳幼児期~学童期に多い | 思春期以降~中高年での新規発症も多い |
原因・背景 | アレルギーと関連(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ダニ・ハウスダスト) | アレルギー以外の要因も関連(職業性、喫煙、加齢による気道リモデリング) |
症状の出方 | 風邪をひいたときに悪化、夜間や早朝に咳・ゼーゼーが目立つ | 慢性的に咳・息切れが続く、夜間・早朝の症状や運動時の息苦しさもあり |
経過 | 成長とともに軽快・寛解する傾向がある(特に小学生高学年〜中学生で改善) | 一度発症すると長期に続きやすく、完治は難しいことが多い |
重症化リスク | 発作が急激に悪化しやすく、入院が必要になることもある | 重症化すると呼吸機能が徐々に低下、COPDとの合併もあり |
治療の特徴 | 吸入ステロイド(ICS)が基本。親の管理が重要。発作予防と環境整備(ダニ・ハウスダスト対策)が大切 | ICS+LABAが使われることが多い。中等症以上ではLAMAや生物学的製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体など)も使用される |
生活上の注意 | 保育園・学校生活での対応(運動時、砂埃、急な発作時の対応) | 喫煙・肥満・ストレス・職場環境など生活習慣の影響が大きい |
最後に
気管支喘息は、正しい治療と生活習慣の工夫でうまく付き合っていける病気です。
「咳が長引いている」「夜に咳き込む」「運動するとゼーゼーする」など、気になる症状があればお気軽にご相談ください。必要な検査を行い、ひとりひとりに合った治療を提案いたします。
当院では、小児科専門医・アレルギー専門医による診療を行っております。お子さまの喘息やアレルギーでお困りの方も安心してご受診ください。
参考文献