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【気管支喘息とは?】子どもから大人まで知っておきたい基礎知識

[2025.07.08]

こんにちは、カーサファミリークリニックです。

今回は「気管支喘息(ぜんそく)」について、まとめてみました。お子さんに多いイメージがありますが、大人でも発症することがある身近な病気です。

気管支喘息とは?

気管支喘息は、気管支に慢性的な炎症が起こっている状態です。そのため、ちょっとした刺激で気道が狭くなり、呼吸がしにくくなったり、咳やゼーゼー(喘鳴)が出たりします。

これは一時的な症状ではなく、慢性的な疾患です。日頃からの管理と予防がとても大切です。

症状

  • 夜間〜明け方に咳が出る

  • 息を吐くときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする(喘鳴)

  • 息苦しさや胸のつかえ

  • 激しい運動後や風邪の後に咳が続く

  • 咳が何週間も長引く(咳喘息の可能性も)

お子さんの場合、初めは風邪と見分けがつきにくいこともあります。3歳ごろまではゼーゼーしていても、以降は無くなる人もいれば、一方で、3歳ごろからゼーゼーが始まる人もいます。

喘息の原因

喘息の原因(誘因)はさまざまです。

  • ハウスダスト(ほこり・ダニ・カビ)

  • 花粉

  • ペットの毛

  • 風邪(ウイルス感染)

  • 運動・冷たい空気

  • タバコの煙

  • ストレスや疲労

また、アレルギー体質のある方に多く見られます。家族に喘息やアレルギーがある方も要注意です。

喘息の検査(スパイロメトリー)

吸ったり吐いたりする呼吸の「強さ」や「量」を調べる検査です。喘息があると、息を吐き出す力が弱くなっていたり、息が出にくくなっていることがあります。

6歳以上のお子さんから検査できます。

喘息の診断・重症度の評価・薬の効果確認に有効です。当院で実施することができます。

治療

発作を予防する治療

喘息は慢性的に気道が炎症を起こしている状態です。発作がない時でも炎症はくすぶっており、毎日の治療でこの炎症を抑える薬を「コントローラー」と呼びます。

  • 吸入ステロイド薬(ICS)
     ▶ 毎日吸うことで気道の炎症を抑える、最も基本の治療。
  • 吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬(ICS/LABA)
     ▶気道を広げて呼吸を楽にする効果もあります。
  • 吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬+長時間作用型抗コリン薬(ICS/LABA/LAMA)
     ▶ICS+LABAをしっかり使っていても、症状が良くならない時に使います。
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
     ▶ アレルギー反応を抑える内服薬。花粉症などのアレルギーがある方にも有効。
  • 生物学的製剤 
     ▶重症喘息の場合に使用します

効果をしっかり出すためには、毎日継続して使用することがとても大切です。

症状が出たときの治療

発作時や急にゼーゼー・息苦しさが出たときには、症状をすばやく和らげる治療を行います。

  • 短時間作用型β2刺激薬(SABA)
     ▶ 息苦しくなったときに吸入(内服)する。即効性があり、気道を広げる。

  • ステロイドの内服や点滴
     ▶ 強い炎症を一時的に抑えるため、短期間のみ使います

生活上の注意点

  • ほこり・ダニ対策(こまめな掃除、布団の管理)

  • ペット飼育

  • 禁煙(本人・家族)

  • 定期的な通院と薬の継続

  • 風邪をひいたら早めの対応

特にお子さんの場合、「元気に見えるから」と治療をやめてしまうと、再発や重症化することもあります。治療については、必ず主治医と相談してから決めましょう。

小児と成人の喘息のまとめ

  小児の喘息 成人の喘息
発症年齢 乳幼児期~学童期に多い 思春期以降~中高年での新規発症も多い
原因・背景 アレルギーと関連(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ダニ・ハウスダスト) アレルギー以外の要因も関連(職業性、喫煙、加齢による気道リモデリング)
症状の出方 風邪をひいたときに悪化、夜間や早朝に咳・ゼーゼーが目立つ 慢性的に咳・息切れが続く、夜間・早朝の症状や運動時の息苦しさもあり
経過 成長とともに軽快・寛解する傾向がある(特に小学生高学年〜中学生で改善) 一度発症すると長期に続きやすく、完治は難しいことが多い
重症化リスク 発作が急激に悪化しやすく、入院が必要になることもある 重症化すると呼吸機能が徐々に低下、COPDとの合併もあり
治療の特徴 吸入ステロイド(ICS)が基本。親の管理が重要。発作予防と環境整備(ダニ・ハウスダスト対策)が大切 ICS+LABAが使われることが多い。中等症以上ではLAMAや生物学的製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体など)も使用される
生活上の注意 保育園・学校生活での対応(運動時、砂埃、急な発作時の対応) 喫煙・肥満・ストレス・職場環境など生活習慣の影響が大きい

最後に

気管支喘息は、正しい治療と生活習慣の工夫でうまく付き合っていける病気です。

「咳が長引いている」「夜に咳き込む」「運動するとゼーゼーする」など、気になる症状があればお気軽にご相談ください。必要な検査を行い、ひとりひとりに合った治療を提案いたします。

当院では、小児科専門医・アレルギー専門医による診療を行っております。お子さまの喘息やアレルギーでお困りの方も安心してご受診ください。

 

参考文献

小児喘息基礎知識

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