睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群と循環器疾患との関係
「朝起きても疲れが取れない」「日中の眠気がひどい」「家族からいびきをよく指摘される」といった症状に心当たりはありませんか?それはもしかすると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が何度も止まってしまう病気です。放置すると生活の質が低下するだけでなく、高血圧、不整脈、心不全、脳梗塞といった循環器疾患のリスクが高まります。当院では、心臓や血管のトラブルを未然に防ぐことを最も大切にしているため、これらの原因である睡眠時無呼吸症候群の診断から治療までをしっかりとサポートしたいと考えています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に口から肺への空気の通り道が塞がることで呼吸が止まる「閉塞型(OSAS)」と、脳の呼吸中枢が適切に働かない「中枢型(CSAS)」に分類されます。特によく見られるのは閉塞型で、肥満や首回りの脂肪が多い方、扁桃肥大がある方、顎が小さい方などに閉塞型の睡眠時無呼吸症候群が起きやすいことが知られています。
睡眠時の無呼吸が繰り返されると、いわば一次的な窒息状態となっているため、血液中の酸素が低下し、体が危機を感じて反応し、心拍数や血圧が上昇しやすくなります。その結果、最もリラックスしているべき睡眠中なのにも関わらず、血管に負荷をかけ続けるため、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増大します。また、心房細動などの不整脈も起こりやすくなるとも言われています。
SASと循環器疾患の関連
1. 高血圧との関係 睡眠時無呼吸症候群の患者さんの多くは高血圧を合併しています。特に夜間血圧が下がりにくいタイプの高血圧が多く、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなると言われています。
2. 不整脈との関係 無呼吸状態が続くと交感神経の緊張が高まり(=興奮状態となっていること)、心房細動などといった不整脈を引き起こします。不整脈がある場合、SASの治療によって改善が期待できることもあります。
3. 心不全との関係 SASは心臓への負担を増やし、心不全を悪化させる要因となります。特に中等度以上の無呼吸がある場合、心臓のポンプ機能が低下しやすくなると言われています。
SASが疑われた場合の当院での診断の流れ
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問診・診察
ESSという睡眠時無呼吸症候群を疑うための質問表を記入していただき、どれくらい疑わしいかを調べます。 -
簡易検査(自宅での検査)
検査会社から自宅に検査キットを発送し、自宅で小型の機器をご自分で装着し、睡眠中の呼吸の状態を記録します。検査終了後に発送していただければ、結果が当院に送られてくるため、外来で結果をご説明いたします。 -
精密検査(自宅での終夜睡眠ポリグラフィー検査)
簡易検査の値によっては、次のCPAP治療に進むか、より詳しい診断が必要な場合もあります。その場合は、検査会社から精密検査キットをご自宅に発送させていただき検査を再び行っていただきます。こちらの検査結果も当院に送られてくるため、結果のご提示で最終的に以下のCPAP治療の適応があるかどうかをお伝えします。
CPAP療法とは?
睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法が「CPAP(シーパップ)療法」です。これは、鼻に装着するマスクから持続的に空気を送り込み、気道(=口から肺への空気の通り道)が塞がるのを防ぐ治療法です。
CPAPのメリット
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無呼吸の回数を大幅に減らし、睡眠の質を改善
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日中の眠気や疲労感の軽減
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高血圧や不整脈、心不全の改善
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心血管疾患のリスク低減
- 動脈硬化の進展リスクの軽減 など
当院では、患者さんに合ったCPAPの設定やフォローアップを丁寧に行い、快適に治療を続けられるようサポートします。
SASが疑われる方は当院へご相談ください
睡眠時無呼吸症候群は「ただのいびき」ではなく、心臓や血管の病気と密接に関係する重要な疾患です。「もしかして?」と思ったら、早めに検査を受けることをおすすめしています。当院では、循環器の専門的な視点からこういったCPAP治療をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。
Q&A
どれくらいの費用がかかりますか?
保険適用で検査治療が可能です。3割負担の場合、簡易検査が2700円程度、精密検査が必要な方は12500円程度、CPAP治療は毎月4500円程度の費用となります。
副作用はありますか?
鼻づまりや口の乾燥が起こることがありますが、加湿器を追加することで多くは対策可能です。もし症状があればお気軽にご相談ください。
記事執筆者
カーサファミリークリニック
院長 三浦 光太郎
循環器内科専門医 総合内科専門医 医学博士