五月病と心臓
新年度が始まって1ヶ月が経ちました。4月に張りつめていた緊張が少し緩んでくるこの時期、“なんとなく調子が悪い”という症状が増えてくる頃です。
いわゆる五月病とは、4月からの環境の変化に体や心がついていけず、5月のゴールデンウィーク明け頃に「気分が沈む」「やる気が出ない」「眠れない」「体がだるい」といった症状が出てくる状態のことです。医学的には、うつ状態や適応障害、自律神経の乱れといわれることが多く、誰にでも起こりうるものです。
ストレスや不安、生活リズムの乱れが続くと、自律神経のバランス(交感神経と副交感神経のバランス)が崩れ、身体を活発化させるアクセルのような役割をする神経である「交感神経」が優位になります。この「交感神経」が優位である時間が長いと、心臓の症状が現れてくることがります。
・突然の動悸
・軽い運動での息切れ
・胸の締め付け感
こういった症状は五月病のストレスのせいであると片付けることもできますが、実際、心房細動や期外収縮、冠攣縮性狭心症など心臓の疾患であることも十分あります。
ここでぜひ知っておいていただきたいのは、ストレス(=交感神経の過剰な緊張)は、決して「気のせい」ではなく、心臓に実際の影響を与えるものだということです。心と体はつながっており、ストレスが心臓に現れることは決して珍しくありません。事実、ストレスによって急激に心臓のパワーが落ちるたこつぼ型心筋症とうい重大な病気も存在しています。
5月は、頑張ってきた体や心がちょっと休もうとサインを出す季節でもあります。休養を取ることで良くなる方も多いですが、なかなか休めない学生さんや会社員の方、家事・育児を担う方にとっては、それも簡単ではないと思います。
こういった不調は、誰かに話すだけでも楽になることがあります。また、必要に応じて検査を受け、「心臓の病気ではない」と分かることが、不安の軽減につながることも経験上少なくないです。
「なんとなくおかしい」「このままで大丈夫かな?」と感じましたら、どうか一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。