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動悸症状のある方の診察

[2025.04.16]

今回は、動悸という症状の捉え方、診察時に重要となる情報、そして考えられる原因について、診察する時の実際の視点から整理してお伝えいたします。

動悸とは、自分の心臓の拍動を「速い」「強い」「乱れている」「飛んでいる」といった形で意識する状態を指します。具体的には、以下のような表現が見られます:

  • 安静にしているのに脈が速く感じる

  • 胸がバクバクと音を立てているように感じる

  • 規則正しく打っていた脈が急に乱れる

  • 一拍抜けるような感覚のあと、強い拍動が起こる

これらはいずれも“動悸”と表現される可能性があり、自覚症状を言語化していただくことは、診察における大切な手がかりとなります。そのため私は、いつも動悸症状の方にその動悸は「脈が速い」のか「脈が乱れる」のか「脈が飛ぶ」のか「鼓動が強い」のかを聞いております。この情報だけでも不整脈らしいのか、さらにその中でもどういった不整脈らしいのかを探ることができます。

 

発作の始まり方・終わり方も診断のヒントになります。動悸の「出方」も重要な情報です。

  • じわじわと始まり、徐々におさまる

  • 突然始まり、突然おさまる(いわゆるパッと始まり、パッと終わる)

このような特徴によって、疑われる疾患が変わります。たとえば後者は、発作性の不整脈(心房細動や発作性上室性頻拍症など)を強く疑います

さらに、

  • 動悸がどれくらい続くか(持続時間)

  • 1日のうち何回程度、あるいは週に何回程度出現するか(発作頻度)

こういった詳細も、必要な検査の選択や診断精度に大きく関わってきます。

 

クリニックの検査で「実際に異常が見つかるかどうか」は、タイミングにもよります。

診察時に心電図などの検査を行っても、動悸が出ていないタイミングでは異常が見つからないことも少なくないです。特に、1回の発作が短時間で終わる場合は、24時間ホルター心電図などの追加検査が有用となることもあります。しかし、24時間脈を記録することのできるホルター心電図も検査中に発作がなければ診断がつかないこともあります。

そういった場合は、繰り返し24時間ホルター心電図検査を行ったり、スマートウォッチや携帯型心電計(家電製品ショップで購入可能)で記録していただくことが有用な場合もあります。

動悸症状を起こす病気は、不整脈以外にも、貧血、甲状腺疾患、更年期、パニック障害、カフェイン、ストレス、アルコール摂取後など様々な原因があります。

診断を進めていくには、検査は重要ですが、どのような動悸かを詰めていく問診も重要と考えています。

 

動悸という症状は、日常生活の中でも比較的よく見られる一方で、時に重大な疾患の初発症状である可能性も否定できません。気になる症状がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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