アレルギー性鼻炎について小児科・アレルギー専門医がわかりやすく説明します|西葛西 カーサファミリークリニック
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風邪の症状(発熱、咳、鼻水など)

 風邪(ウィルス感染症)について

  • 風邪とは主にウィルス感染症のことです。ウィルスの種類はライノウィルス、コロナウィルスなど、全部で200種類以上あると言われています。飛沫感染(咳やくしゃみなどの水滴を介して感染すること)、接触感染(手足や物を介して感染すること)で感染が広がります。熱や鼻水は1日〜1週間くらいで改善していくことが多いですが、咳は2週間〜1ヶ月くらい長引くことがあります。風邪をひいたらクリニックを受診して、症状の経過を確認しましょう。
     
  • ウィルスに効く治療薬は限定的です。インフルエンザや水痘(水ぼうそう)などには抗ウィルス薬(タミフルやバラシクロビルなど)で治療することがありますが、その他のウィルスに対する特効薬はほとんどなく、残念ながら抗生剤はウィルスには効果がありません

  • 痰切りの薬(カルボシステイン、ムコダインなど)や咳止め(アスベリンなど)は、症状を和らげるための薬です。ただ、薬の効果だけで症状が完全に無くなることは難しいため、安静や環境調整(部屋の加湿など)も必要です

  • 熱が37.5度以上でぐったりしているときは、解熱剤を使います。また、体から水分が出ていきやすくなるので、水分をこまめに取るようにしましょう。風邪の予防には、マスクをつけられるお子さんはマスクをつけて、手洗いうがいをしましょう。

 

発熱がある時の対応

お子さんに最も使われる解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ、アルピニーなど)です。粉薬、座薬、錠剤があります。粉薬が苦手なお子さん(特に乳児)は座薬が使いやすいです。

体温が37.5〜38度以上でぐったりしている・元気がない・機嫌が悪いときは、解熱剤を使いましょう。解熱剤を使うと1度くらい熱が下がりますが、いきなり平熱まで下がることは難しいでしょう。また、太い血管が流れている場所(首、脇など)をタオルで包んだ保冷剤などで冷やすのも効果的です(無理に全身を冷やす必要はありません)。熱が下がると、徐々に活気が出てくる、食欲が回復する、睡眠が取りやすくなることが期待できます。

 

 

また、うわごとをいう・部屋を動き回るなどの行動を取ることがあります(熱せん妄)。呼びかけに反応しない・目線が合わない状態が続く、意識がない、痙攣している場合には、救急車を要請し速やかに医療機関を受診しましょう。熱が3-5日以上続く時には、ウィルス以外の感染(細菌感染)を合併して気管支炎・肺炎・中耳炎などになったり、感染症以外の病気になっていることがあるので、クリニックを受診しましょう。

 

よくあるQ&A

Q1. 鼻水は吸った方がいいですか?

鼻水が鼻の奥に溜まっていくことで中耳炎や副鼻腔炎になることがあります。ですので、1〜2歳くらいになったら鼻かみの練習をしましょう。自分で鼻かみができない場合には、吸引機で適宜吸うと、哺乳や睡眠がとれるようになるお子さんもいます。ただし、鼻水が固まった状態で吸う、必要以上に吸うと鼻の中を傷つけてしまいます。ですので、お風呂上がりなど鼻水が柔らかくなり出やすい状態で吸ってあげると良いでしょう。

 

Q2. 咳を止める方法はありますか?

咳は、風邪の症状の中で長引きやすく、患者さん自身だけでなくご家族も特に気になる症状だと思います。特にお子さんの場合、強い咳止め薬は副作用が強いため使用することはできません。そのため、薬だけで咳を完全に止めることは難しいかもしれません。(処方はできませんが)最近、咳止めの効果が期待されいるのがハチミツです。ただし、1歳未満の乳児にはハチミツを絶対に与えないでください。ハチミツにもさまざまな種類がありますが、まずはご自宅にあるものをお試しください。温かい飲み物などにティースプーン1杯程度混ぜて飲んでも良いでしょう。

 

Q3. 風邪が治ったばかりなのにまた熱が出ました・・・

乳幼児は1年に6〜8回くらい風邪を引くと言われています。また、保育園や幼稚園に通園している、ご兄弟がいる場合は風邪をもらう機会が増えると思います。「こんなに風邪をひいて大丈夫なのか・・」と思ってしまうのですが、風邪のウィルスは200種類位以上あるので、残念ながら誰しもが何度もかかってしまいます。ただ、小学生〜中学生になると、風邪にかかる回数は徐々に減っていきます。

お子さんが風邪をひいたらご心配になることは当たり前ですので、そんな時は当院に相談してください。

 

Q4. 高い熱は脳に影響しますか?

高い熱(体温38度以上)が出ると心配になると思いますが、発熱自体が脳に影響することはありません。脳に影響があるのは、重症な感染症(脳炎・髄膜炎など)になった後ですが、高熱=(イコール)重症な感染症というわけではありません。

気をつけるべき症状は、熱が3-4日以上続く、(解熱剤を使用しても)ぐったりしている、痙攣する、意識(呼びかけへの反応)が悪い、嘔吐し続ける、水分が全く取れない・尿量が減っている、呼吸が苦しそう、どこかに強い痛みがある、という状態の時です。そのような場合には、早く医療機関を受診しましょう。

アデノウィルス感染症

アデノウィルスには様々な種類があり、多様な症状が起こります。免疫がつきにくいので、繰り返しかかってしまうことがあります。

咽頭結膜熱(プール熱)

夏に子供に起こりやすく、くしゃみや咳などの飛沫感染と手指を介した接触感染により、保育園・幼稚園などで感染が広がりやすいです。発熱(高いと40度程度)が3-5日程度続き、咽頭炎、結膜炎を認めることがあります。症状がなくなった後から2日間は園や学校にいくことはできません。

流行性角結膜炎(流行り目)

感染力が強く、手指を介した接触感染により感染が広がります。白目が充血し痒くなります。瞼が腫れ、目脂や涙が多く出ます、両目に症状が出やすいです。

赤ちゃん(新生児や乳児)は炎症が強く出るため、白目に膜のようなものが張られてしまい(偽膜性結膜炎)、除去する必要があります。このような症状がある場合には、早期に眼科を受診しましょう。

 

咽頭炎・扁桃炎

発熱や咳などの症状が5日間-1週間程度続きます。稀に、肺炎を起こすこともあります。

胃腸炎

発熱、嘔吐、下痢が主な症状です。乳幼児に起こりやすく、胃腸炎から腸重積になることがあります。繰り返し嘔吐する、泣く・泣き止むのを繰り返す(間欠的啼泣)、血便がある時には早期に医療機関を受診しましょう。

 

アデノウィルス感染症の治療

水分を適宜摂取したり、解熱剤を使用したりして症状を和らげます(対症療法)。特に胃腸炎で脱水状態がひどい場合には、こまめに経口補水液(ナトリウムやカリウムが入ったもの)を取りましょう。尿が普段の半分以下に減っている、水分がほとんど取れない、ぐったりしている時には病院を受診しましょう。

 

手足口病

手足口病について

コクサッキーウィルスやエンテロウィルスに感染することにより、手足や口の中に水疱ができます。発熱することもあります。稀に、水疱症状はなくても脳炎、髄膜炎、心筋炎になることがあるので注意が必要です。感染してから3-5日後に症状が出ます。乳幼児にかかりやすく、飛沫感染や接触感染で広がるため、保育園・幼稚園で流行することが多いです。数日で治ることが多いですが、発症して1ヶ月程度経過した後に、爪が剥がれることもあると言われています(自然に治ります)。

 

手足口病の治療・予防法

症状に応じて解熱剤や去痰剤を使用し(対症療法)ます。発疹が残っていても熱が1日以上下がっていれば、登園・登校することは可能です。発熱が2,3日以上続く、ぐったりしている、嘔吐する、呼びかけに反応しない、水分が取れず尿が減っているなどの症状がある場合には早急に医療機関を受診しましょう。また、感染した後2週間程度は体からウィルスが排出されますので、手洗い・うがいはしっかりしましょう。

インフルエンザウィルス感染症

インフルエンザウィルス感染症について

インフルエンザはウィルス感染ですが、風邪と比べて症状が重くなりやすい傾向があります。主にA型・B型の流行が多いです。A型は症状が強く、毎年流行します。B型は腹痛や下痢などの症状が多いです。感染してから1-3日後に発熱(38−41度)、頭痛、関節痛、倦怠感、咳、鼻水が見られます。風邪に比べて全身的な症状が強く、1週間程度で改善していきます。また、特に乳幼児では急に状態が悪化し、痙攣、意識障害、異常行動が見られることがあります(インフルエンザ脳症・急性脳炎など)このような症状が見られる場合には、早急に医療機関を受診しましょう。

 

インフルエンザウィルス感染症の診断方法

周りの流行状況、症状の経過、検査結果を踏まえて診断します。発熱してから半日もたっていない場合に迅速検査をすると、ウィルスの量が十分でないために、インフルエンザに罹っていたとしても検査結果は陰性になってしまうことがあります。ですので、発熱が半日以上続いてから検査をする方が診断がしっかりできます。一方で、家族内や園でインフルエンザに罹っている人がいる、学級閉鎖になっているというように、経過からインフルエンザであることが明らかと考えられる場合には、検査をせずに診断することもあります。そして、発熱の日数に関係なく、ご本人の状態が悪い場合には早急に受診する必要があります。

 

インフルエンザウィルス感染症の治療

治療薬にはノイラミニターゼ阻害薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ)やキャップ依存性エンドヌクレアーゼ(ゾフルーザ)があります。薬を使用することで、主に発熱の期間を短くすることが期待できます。いずれも、ウィルスが増えすぎる前に使うことで効果が出るので、発症してから2日以内に飲み始めることが推奨されています。熱が高くて苦しい・体が痛い時には解熱剤を使用します。最近では使用頻度が減りましたが、アスピリン(バファリンなど)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)はインフルエンザに罹っているときに使用すると、脳症を起こす可能性があるため、処方されたアセトアミノフェン(カロナールなど)を使う方が安心です。

小児では、タミフルは治療実績が最も多く、成人よりも発熱を短くする効果が高かったと言われています。解熱しても5日間飲み切ります。イナビルは1日1回の吸入で治療が済みますが、肺炎や喘息発作の時に使用は推奨されていません。ゾフルーザは新しい薬なので、小児では治療実績が少なく、耐性ウィルスが出ており、十分な効果がない場合があります。

薬の名前 使用方法 年齢
タミフル(飲み薬) 1日2回、5日間使用 どの年齢でも使用できる
リレンザ(吸入薬) 1日2回、5日間使用 吸入ができる年齢(小学校低学年ごろ)から使用できる
イナビル(吸入薬) 1日1回、1回のみ使用 吸入ができる年齢(小学校低学年ごろ)から使用できる
ゾフルーザ(飲み薬) 1日1回、1回のみ使用 12歳以上から推奨(6歳以上から使用できる)
ラピアクタ(点滴薬) 1日1回、繰り返し使用可能 どの年齢でも使用できる

 

インフルエンザウィルス感染症の予防

インフルエンザの重症な症状(脳炎・脳症・肺炎など)を予防できるのは、ワクチン接種です。脳炎・脳症の死亡率は30%、後遺症25%程度と言われており、乳幼児に多く見られます。ワクチン接種後の免疫の継続は半年程度なので、毎年接種しましょう(生後6ヶ月から接種できます。)。一般的な風邪の予防策と同様に、外出後は手洗い・うがい・手指消毒を行いましょう。また、空気が乾燥すると気道の防御力が低下するため、乾燥する季節には加湿を十分に行いましょう。十分な睡眠や休養、バランスの取れた栄養を摂取することも体の提供力を高めるためには有効です。流行している時には、人混みを避けて、マスクを装着して外出することも一つの予防策になります。

 

RSウィルス・ヒトメタニューモウィルス感染症

 RSウィルス感染症/ヒトメタニューモウィルス感染症について

RSウィルスは呼吸器感染を起こすウィルスで、飛沫感染で広がります。乳幼児の間で流行することが多く、発症から5-6日目に症状が最も悪くなることが特徴です。ヒトメタニューモウィルスもRSウィルスに似ています。大人は咳・鼻汁・発熱の症状におさまりますが、特に乳幼児は重症化しやすいため、注意が必要です。症状は、鼻水・咳がある、ゼーゼー・ヒューヒュー(喘鳴)があることが多いです。気管支の奥まで炎症が広がる(細気管支炎・肺炎・無気肺)と、呼吸が苦しそう(胸やのどの下がベコベコへこむ、呼吸がいつもより速い、鼻の穴がふくらむ)、顔色が悪い(息をこらえている)、ぐったりする、哺乳ができないことがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。

 

RSウィルス感染症/ヒトメタニューモウィルス感染症の治療

特効薬はないので、症状に応じて解熱剤や去痰剤を使用し(対症療法)、吸引や吸入を行います。SpO2の値が低い場合や、呼吸の状態・全身の状態が悪い・発熱が続く場合には、入院での治療が必要になることがあるため、専門医療機関に紹介をします。

 

小児のコロナウィルス感染症

小児の新型コロナウィルス感染症の症状

コロナウィルスへの感染のしやすさは大人と同じです。発熱、咳が出ることが多く、腹痛、下痢、発疹を認めることもあります。乳児や幼児では味覚障害が起こることは少ないようですが、子供は症状を正確に伝えることは難しいことが多いことは注意しましょう。

大人ほど重症化する人の割合は少ないですが、喘息がある方や2歳以下のお子さんは重症化しやすいことがわかっています。

 

新型コロナウィルス感染症の治療

小児の新型コロナウィルス感染は軽症がほとんどなので、基本的には対症療法をします。症状に応じて解熱剤や去痰剤を使用(対症療法)します。pO2の値が低い場合や、呼吸の状態・全身の状態が悪い・発熱が続く場合には、入院での治療が必要になることがあるため、専門医療機関に紹介をします。

 

この記事を書いた人

カーサファミリークリニック

副院長 三浦陽子

小児科専門医・アレルギー専門医

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