めまい
私たちの体は、視覚、耳の奥にある平衡器官、そして筋肉や関節からの感覚などが連携することで、バランスを保っています。これらのどこかに異常が起きると、めまいとして自覚されることがあります。めまいは一つの病名ではなく、さまざまな原因から起こる症状の総称です。
症状
めまいは、いくつかのタイプに分けられます。
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回転性めまい:自分や周囲がぐるぐる回っているように感じる。主に耳の障害で見られます。
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浮動性・ふらつき:ふわふわと浮くような感じ、不安定な歩行。脳や循環器、自律神経の関与もあります。
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立ちくらみ:急に立ち上がった時などにクラッとする。血圧変動や心拍出量の問題が背景にあることがあります。
循環器内科の視点では、「立ちくらみ」や「ふらつき」に注目します。これらは単なる耳の問題ではなく、心臓や血管の働きに関係している可能性もあります。
原因
めまいの原因は、大きく以下の4つに分けられます。
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耳(末梢前庭)の異常
良性発作性頭位めまい症(BPPV)、メニエール病、前庭神経炎など
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脳・神経(中枢性)
小脳や脳幹の脳梗塞・出血
→ 麻痺、しびれ、言葉のもつれを伴う場合は中枢疾患を疑います。 -
循環器系の異常
起立性低血圧、不整脈、心不全や心筋梗塞
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その他の原因
精神的ストレス、貧血、脱水、薬の副作用
検査
まずは問診と身体診察から始め、症状の出方、持続時間、随伴する症状(耳鳴り・難聴・しびれ・動悸・胸痛など)を詳しくお聞きします。
検査は必要に応じて以下を組み合わせて行います:
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眼振や姿勢のチェック:耳や小脳の異常を調べます
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血圧測定・脈拍確認:起立性低血圧や不整脈を確認します
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心電図・ホルター心電図:不整脈の有無を評価します
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心エコー・頸動脈エコー:心臓や頸部血管の状態を確認します
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採血:貧血や電解質異常、炎症所見などを調べます
治療
治療は原因に応じて変わります。
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耳が原因の場合:
めまい止めや内耳循環改善薬などを使用します -
中枢性の原因:
脳梗塞・出血が疑われるようであれば、早急に病院をご紹介します -
循環器が原因の場合:
起立性低血圧には水分・塩分補給、必要に応じてお薬を使用します
不整脈の場合には抗不整脈薬やペースメーカー治療が必要なこともあります
心不全がある場合は利尿剤や心保護薬が中心になります
当院では、内科として耳・脳・心臓のいずれの側面も総合的に診させていただきます。
最後に
めまいは一時的な症状として片付けられがちですが、背景に重篤な病気が潜んでいる場合もあります。「何となくふらつく」「立った時にクラッとする」「動悸とともにめまいがする」など、どんなことでも気になる方は、是非ご相談ください。
記事執筆者
カーサファミリークリニック
院長 三浦 光太郎
循環器内科専門医 総合内科専門医