食物経口負荷試験について小児科・アレルギー専門医がわかりやすく説明します|西葛西 カーサファミリークリニック
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食物経口負荷試験

食物経口負荷試験とは

食物経口負荷試験は、血液検査や皮膚テストよりも正確に食物アレルギーを診断できる検査です。
医師の管理下で、アレルギーが疑われる食物を実際に摂取し、アレルギー症状が出るかを安全に観察します。

症状が出なかった場合には、医師の指導のもとで少しずつ摂取量を増やし、食べられる食品を増やすことができます

当院では、できるだけ制限を減らし、安心して食べられる食事の幅を広げることを目的に診療を行っています。

 

検査の対象になる方

  • 0歳から15歳(16歳未満)の方で、年に3回まで保険診療内で受けることができます。
  • 「ずっと除去していいのか?」「少しなら食べても大丈夫なのか?」「血液検査が陽性になって除去を指導されたけど、本当にアレルギーなのか?」

    など、そんなお悩みのある方に適している検査です。

 

検査の流れ

  1. 事前予約と同意書の署名
     医師との診察後、必要に応じて抗ヒスタミン薬を処方します。

  2. 食物の準備と持参
     負荷試験で使用する食品を持参してください。
     卵の少量の負荷試験では、院内で加熱鶏卵パウダー(たまこな®:200円/包)を購入いただけます。

  3. 院内での摂取・観察
     持参した食物を1〜2回に分けて食べ、2〜3時間ほど院内で症状の有無を観察します。

  • 症状が出た場合:あらかじめ処方された抗ヒスタミン薬を服用し、必要に応じて医師が追加治療を行います。

  • 症状が出なかった場合:自宅での継続方法を医師が説明します。

検査に関する注意点

  • 症状の重い方や入院での管理できる施設で実施する必要があると判断された方は、専門施設をご紹介します。

  • 当日の体調によっては検査を延期することがあります(例:風邪症状、発熱、嘔吐、喘息発作など)。

  • 検査当日はお薬の処方をすることができませんので、ご理解いただきますようお願いします。

初めて自宅で食べるときの注意点

アレルギーを起こしやすい食物を初めて食べるときは、食後2時間は安静にして様子を見るのがおすすめです。
以下のような場合はアレルギー症状が出やすくなるため注意しましょう:

  • 発熱・嘔吐・下痢・咳など体調不良

  • 疲労が強いとき

  • 喘息の症状があるとき

  • 歯が抜けた直後

  • 月経前・月経中

  • 湿疹があるとき(先に治療をします)

食物負荷試験を受けることのメリット

  1. 食べられる量のアレルギー食品を食べておいたほうが、食物アレルギーは治りやすい

    完全除去をするよりも、負荷試験で食べることができた量を食べ続けたほうが、その後のアレルギーは治りやすいことはわかっています。
    ただし、アレルギー症状が出ない安全な量を食べること、体調不良や運動・抜歯などアレルギー症状が出やすい状況を避けて摂取することが非常に大切です。
  2. 食生活が少しでも豊かになる

  • 食物アレルギーでは、正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が原則とされています(食物アレルギー診療ガイドライン2021)。
  • 負荷試験で食べられるようになると、アレルギー食物の入った食品でも食べられるものが増えます。

(例:加熱鶏卵1/8個を食べられるようになると、特定のお菓子や加工品が自宅で食べられます。)

  • 除去を継続することは安全である一方、食生活を大きく制限することになります。食事の制限がなくなっていくと、ご本人だけでなく、一緒に食事をされるご家族も自然と食べられる食品が増えていきます。
  • 当院では、できるだけ“食べられるもの”を増やし、安心して食事ができるようにサポートしています。

まとめ

  • 食物経口負荷試験は、もっとも正確に食物アレルギーを確認できる検査です。

  • 医師の管理下で安全に行い、食べられる範囲を広げることが目標です。

  • 「本当にアレルギーがあるのか」「いつまで除去したらよいのか」「食べられるものが知りたい」といったお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

この記事を書いた人

カーサファミリークリニック

副院長 三浦陽子

小児科専門医・アレルギー専門医

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