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高血圧

高血圧とは?

高血圧とは、血液により体内の血管にかかる圧力が通常よりも高い状態を指します。高血圧が続くと、心臓病や脳卒中などのリスクが高まることが知られています。

多くの場合、痛みや不快感を伴わないため、高血圧は「沈黙の殺人者=サイレントキラー」とも呼ばれます。収縮期血圧が160mmHgを超えてくると、頭痛やめまい、吐き気などの症状が出ることがあります。

高血圧は心臓病や脳卒中のリスクを上昇させ、頭痛やめまい、胸の痛み、息切れ症状が出た時にはすでにこれらの重篤な疾患を発症してしまい、麻痺などの重篤な健康障害を引き起こしてしまうこともあります。

原因

・不規則な食生活

・塩分の取り過ぎ

・運動不足、肥満

・ストレス

・喫煙、アルコール

・腎臓やホルモンの病気

・甘草を含む漢方薬

このように主に生活習慣の問題により生じるため、高血圧は生活習慣病の代表と言われています。

検査

自宅での血圧測定

病院で行う検査も重要ですが、まずは自宅での血圧測定が何より重要です。病院など外の環境で測定した血圧が高くても、自宅での血圧が正常のことがあります。リラックスできていない環境や歩いた後などに血圧が高く出ることは生理的な反応ですので、まずは自宅での血圧がどのような状態であるかを調べることが重要です。1ヶ月ほど自宅血圧を測定していただき、まずは家庭血圧が高いかどうかを判断します。クリニックでお渡しする血圧手帳に記載していただいてもいいですし、ご自分で用意した紙でも問題ありません。

最近は色々な血圧管理アプリもあり、入力が簡単でグラフなど見やすいため、スマホを使い慣れている方であれば血圧管理アプリもおすすめしています。

血液検査

バセドウ病や原発性アルドステロン症などのホルモンの異常からくる高血圧症は採血で確認することができます。また、腎臓へのダメージの有無や、糖尿病、コレステロールなど他の生活習慣病の有無を確認します。

心電図

高血圧がコントロールされていないと、心臓に負荷がかかり、心筋肥大を引き起こします。心筋肥大があれば心電図に異常が起きている可能性があるため確認します。

胸部レントゲン

心肥大を確認します。心肥大があると、レントゲンで心臓の影が大きく映ります。

心臓超音波

弁膜症や心筋梗塞などの心臓の疾患を合併しているかどうかを確認します。

予防と治療

まずは、食事や運動など生活習慣の見直しが重要です。規則正しい生活、適度な運動(毎日30分、週5回以上)、ストレスの軽減、禁煙、節酒を行います。特に塩分制限が高血圧にとって重要な食生活の改善ポイントです。塩分が多いと思われる方は、減塩に気をつけるだけで大きく血圧が下がることもあります。減塩は6g/日未満を目指します。

しかし、生活習慣の見直しでも高血圧が改善しない場合は、お薬による治療が必要です。高血圧の治療のゴールは、血圧を下げること自体が目標ではなく、もっと先を見据えた心筋梗塞や心不全、脳卒中などの重大な病気を引き起こさないようにすることが目的です。高血圧は症状がありませんので、お薬により何か症状がよくなるということは実感しませんが、血圧を下げることによりこれらの重大な病気になりにくくすることができます。

降圧薬は様々な種類が存在しますが、心臓や腎臓の病気の有無により使い分けなければなりません。また、妊娠中の方であれば、使用できる薬も制限されます。また、厄介な高血圧となると3種類以上の降圧薬を飲まなければコントロールが難しいこともあります。

降圧薬は心臓保護作用があることも多く、心不全や心筋梗塞後の患者さんでは、再発予防のために降圧剤を使用します。患者さんから「血圧が高くないのに降圧剤が処方されている」と質問を受けることがあります。これは、血圧をさげるために処方されているのではなく、心臓保護のために処方されていると説明しています。

このように、循環器内科専門医は多くの降圧薬の使用経験を有しているため、それぞれの患者さんにあった適切な降圧薬をチョイスすることを得意としています。血圧の薬でご質問などがあれば是非相談してください。

こちらは、年齢や基礎疾患に応じて設定される目標血圧の参考表です。ぜひご自身の目標値をご確認ください。

 

病院での血圧

自宅での血圧

75歳未満

脳血管障害*

冠動脈疾患

慢性腎臓病(尿蛋白あり)

糖尿病

抗血栓薬内服

130/80

125/75

75歳以上

脳血管障害(**又は未評価)

慢性腎臓病(尿蛋白なし)

140/90

135/85

*両側側頭動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし
**両側側頭動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり

まとめ

高血圧と言われたら、まずは生活習慣の見直しを行います。運動習慣、食生活、ストレス、喫煙アルコール習慣などの問題点を洗い出します。それでも改善しなければ投薬治療が必要となってきます。高血圧は痛みを伴いません!しかし、放置すれば心臓病や脳卒中を発症してしまうリスクが上昇してしまい、このような命にかかわる病気の発症を予防するために血圧をコントロールすることが非常に重要です。

Q&A

血圧の薬は飲んだら一生飲まなければならないって本当?

半分正解ですが半分は不正解と私は考えています。まず、高血圧の薬を飲んでいたとしても、ダイエットや塩分制限など生活習慣の改善の余地があるようであれば、それらを実行することで内服を中止することができることもあります。しかし、高血圧と診断されて長い場合やご高齢の場合、動脈硬化が進行し血管が硬くなっているため、なかなか生活習慣の改善で血圧をさげることができず、その際は薬を継続する必要があります。

高血圧を治療する一番の目的は、「動脈硬化による内臓へのダメージを抑え、心筋梗塞や脳卒中になる確率を下げること」を改めて念頭におかなければなりません。お薬を飲むことは私を含めて誰しもが嬉しいものではありません。しかし、「飲むことの嫌さ」と「血圧が高いことにより心臓や脳の病気となってしまうこと」を天秤にかけたとき、どちらを取る必要があるかを主治医と患者さん自身で考えていかなければならない問題です。

もし、途中で中断してしまった場合は血圧が上がってきて、再度これらの危険な病気のリスクにさらされる事となってしまいます。

薬を飲む必要のある高血圧であっても、お薬を減らしたりするために頑張れることがありますので、一緒に考えて治療していきましょう。

特定保険用食品(トクホ)・機能性表示食品は血圧に効くのでしょうか?

まず結論から申しますと、「少しは効いているかもしれないが、高血圧に対する薬の代わりになることは決してない。」が答えになります。

まず、トクホとは有効性や安全性を消費者庁が個別に審査し、認められた飲食品のみをトクホと表示することができます。

人が両手を大きく広げているマークは誰しもが見たことがあると思います。

これに対して、機能性表示食品は有効性と安全性を科学的根拠に基づいて販売者が示し、それらが消費者庁により認められた飲食品です。

ここまで聞くと、これらの健康食品は安全性と有効性がデータで示されているので非常に良いものではないかと思ってしまいます。実際、高血圧をさげる効果があると謳った比較のグラフなどは雑誌や電車の広告などでよくみかけます。しかし、これらの健康食品の位置付けは補助的なものであり、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という文言がついており、決して生活習慣の改善をやめても良いわけではなく、薬の代わりともならないことに注意しましょう。

さらに、科学的根拠に関しても研究対象となった人数がかなり少ないものが多く、一般的にお薬に対して行われている研究に対して規模が小さいことが多いです。

しかし、そういうことを知っている私たち医療者もついついトクホの商品を買ったりしてしまうことはよくあります。摂取すること自体は決して悪くはないと思いますが、高血圧症と診断された方が、脳梗塞や心筋梗塞予防効果が示されている降圧薬を内服をせず、トクホなどの健康食品を摂取することで安心し、高血圧を放置してしまうことは避けなければならないと考えています。

これらの健康食品の位置付けとしては、例えば、高血圧と診断され生活習慣を改善することで正常な血圧まで改善したが、たまに少し血圧が高くなってしまうこともあったり、また高くなってしまうことが不安なのでサポートのためにトクホを摂取するような使い方などに留めとくべきでしょう。


記事執筆者

カーサファミリークリニック
院長  三浦 光太郎
日本循環器学会 循環器内科専門医

 
  

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