高尿酸血症
高尿酸血症とは?
尿酸値(UA)が7以上の場合を高尿酸血症といい、尿酸が高いと診断されます。尿酸は、体内で作られるプリン体という物質が最終的に代謝されたものになります。
通常は尿酸は腎臓から尿として排泄されますが、体の中で作られる尿酸の量が多かったり、尿からの排泄が上手くいかない場合に血液中の尿酸が高くなります。
高尿酸血症を放置すると、余分な尿酸が関節の周りに結晶となって溜まり、関節に激しい痛みを引き起こす「痛風」を発症する恐れがあります。「風が吹いただけでも痛い」と例えられるくらいの激痛となることが多い病気です。痛風はよく汗をかく夏や夜間に起きやすいと言われています。また、高尿酸血症は尿路結石にもなりやすいと言われています。
最近の研究では、高尿酸血症が腎臓の機能低下や心臓病の原因となることも分かってきており、さまざまな疾患との関連性があります。
原因
・プリン体を多く含む食事(肉魚の内臓、干物など)
・アルコール
・肥満、運動不足
・腎臓機能の低下
・白血病などの悪性腫瘍
・遺伝的素因
・薬剤の影響
他の生活習慣病と同様に、食事内容や運動不足などで尿酸値が上昇することが多いです。中には、腎臓病の進行や利尿剤の内服などで尿酸値が上昇することもあります。
検査
・問診、身体診察
これまでの病気の有無や飲酒やタバコの習慣、食事内容、痛風や尿路結石になったことがあるかどうかなどをお聞きします。今までの検診歴があれば、尿酸値を確認します。
・血液検査
尿酸の測定に加え、腎臓の機能や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を中心とした一般的な項目も確認します。
予防と治療
高尿酸血症の治療は、まずは食事・運動指導であり、その次に薬物療法を行うことが基本となっています。
特に食事療法において、プリン体を多く含む食事を避けることが重要です。
食品中のプリン体含有量(100gあたり)
極めて多い(300mg~) | 鳥レバー、白子、あんこう、太刀魚、健康食品(ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー) |
多い(200−300mg) |
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイわし、オキアミ |
中程度(100-200mg) | 肉類の多く、ほうれん草、ブロッコリースプラウト |
少ない(50-100mg) | 肉類の一部、カリフラワー |
極めて少ない(~50mg) |
多くの野菜、米、卵、乳製品、豆類、キノコ、豆腐、加工食品 |
参考 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」より改変
アルコールに関しては、ワインやウイスキーに比べビールに多くのプリン体を含んでいることが知られています。最近ではプリン体がカットされた発泡酒も発売されており、尿酸値を上昇させにくいと言われています。ただし、アルコール自体の摂取が尿酸値を上昇させるため、飲み過ぎには注意が必要です。
運動を行い、メタボリックシンドロームがあればそれを改善することで尿酸値を下げることができます。1日30分〜60分程度の有酸素運動や簡単な筋トレなどが有効です。痛風がある患者さんは、強度の強い筋トレによって痛風発作を引き起こしてしまうこともあるため、強度は低めがおすすめです。また、運動後の脱水も痛風発作を誘発する可能性があるため、運動前後の水分補給にも気をつけましょう。
痛風を起こしたことがある方は、尿酸値が7以上で薬物療法を開始することが良いでしょう。痛風を起こしたことない方は、尿酸値が8以上であれば他の病気の有無に応じて薬物療法を行うことを考えます。薬の飲み合わせや他の病気の合併症、腎機能などを総合的にみて治療方針を決定していきます。
このように、食事、運動、お薬を組み合わせて総合的に治療を行うことが大切です。定期的に検査を受け、尿酸の値が目標の範囲にあるかをチェックしながら、治療を続けていきましょう。
まとめ
高尿酸血症は、食生活習慣の乱れ、運動不足、薬の副作用などで発症してしまいます。尿酸が高い状態が続けば痛風になったり、さらには腎臓の機能の低下や心臓病の発症リスクにつながってしまいます。診断されたら、まずはプリン体の摂取を控えるために食事の見直しを行なったり運動することで治療を行っていきます。それでも下がらない場合は、尿酸を減らす薬を飲む必要があります。定期的に採血検査をして、尿酸値について主治医と一緒に治療していきましょう。
Q&A
運動やサウナ後にビールを飲むと尿酸値が上がりやすいですか?
運動や発汗が尿酸を上げることが知られており、その状態でビールを飲むと尿酸値がより上がりやすいことが知られています。運動後やサウナ後のビールは格別においしいかもしれませんが、乳製品が痛風予防に有効であることが知られているため、「サウナ後の一杯は牛乳がおすすめ」です。
尿酸をさげる効果のある食事は何ですか?
尿酸を下げる効果のある食事について、いくつかのポイントがあります。まず重要なのは、十分な水分摂取です。水やお茶を1日1.5~2リットル程度飲むことで、尿酸の排泄を促すことができます。
次に、尿をアルカリ化する食品を摂取することが効果的です。これにより尿に尿酸が溶けやすくなり、排出が促進されます。特に効果が高いとされる食品には、牛乳やヨーグルトなどの乳製品があります。また、野菜ではほうれん草やブロッコリー、果物ではバナナが良いでしょう。さらに、海藻類も有効で、ひじき、わかめ、昆布などを積極的に取り入れると良いでしょう。
これらの食品を日々の食事に取り入れることで、尿酸値を下げる効果が期待できます。ただし、バランスの取れた食事を心がけることも忘れずに、必要に応じて医師や栄養士に相談することをお勧めします。