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2026年4月以降の大人の肺炎球菌ワクチンについて

[2026.04.14]

肺炎は日本人の死因において常に上位を占める深刻な疾患ですが、その多くは肺炎球菌という細菌が原因です。特にご高齢の方や持病をお持ちの方にとって、肺炎の予防は健康寿命を延ばすための極めて重要な課題といえます。2026年4月以降、大人の肺炎球菌ワクチンの定期接種制度や使用されるワクチンの種類には大きな変化がありました。この記事では、2026年4月以降に接種を検討されている方々に向けて、最新の制度内容やワクチンの選び方について分かりやすく解説します。

予防できる病気と症状

大人の肺炎球菌ワクチンを接種する最大の目的は、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる侵襲性肺炎球菌感染症を予防することにあります。肺炎球菌は、健康な人の鼻や喉にも常在していることがありますが、免疫力が低下した際に肺や血流に入り込み、重篤な症状を引き起こすことがあります。

肺炎球菌が引き起こす主な疾患

肺炎球菌によって引き起こされる病気には、以下のようなものがあります。これらは総称して肺炎球菌感染症と呼ばれます。

  • 肺炎・・・肺に炎症が起こり、激しい咳や痰、高熱、呼吸困難を引き起こします
  • 敗血症・・細菌が血液の中に侵入し、全身に強い炎症反応が起こる命に関わる状態です
  • 髄膜炎・・脳や脊髄を覆う膜に炎症が起こり、頭痛や意識障害を招く恐れがあります

日常生活で気づくべき症状

肺炎球菌による肺炎を発症すると、通常の風邪とは異なる重い症状が現れることが一般的です。特に高齢者の場合は、典型的な症状が出にくいこともあるため注意が必要です。

  • 4日以上続く高熱や悪寒、戦慄
  • 黄色や緑色をした粘り気のある痰
  • 胸の痛み
  • 息切れや息苦しさ

息切れの症状については「息切れ」のページでも詳しく解説していますので、気になる方は併せてご覧ください。これらの症状が見られた場合は、早急に医療機関を受診することが必要です。

2026年4月以降の大人の肺炎球菌ワクチン定期接種制度

2026年4月1日から、大人の肺炎球菌ワクチンの定期接種内容が大きく変更されました。ご自身が対象であるかどうかを把握しておくことが重要です。

定期接種の対象者について

現在の制度において、公費助成を受けて定期接種を受けられるのは以下の方々に限定されています。

  • 65歳の方・・満65歳の誕生日前日から66歳の誕生日前日までの1年間が対象期間となります。
  • 特定の持病がある60歳から64歳の方・・心臓、腎臓、呼吸器の機能に重い障害がある方などが対象です。

心臓に持病をお持ちの方の予防接種については、専門医の立場からも強く推奨しています。心不全の状態にある方は肺炎をきっかけに病状が悪化しやすいため、適切な時期の接種が望まれます。

種類と特徴

肺炎球菌には多くの型(血清型)が存在しますが、すべての型を一つのワクチンでカバーすることは困難です。そのため、より多くの型に対応した新しいワクチンが開発され続けています。2026年時点では、主に以下の4種類のワクチンが使用されています。

23価肺炎球菌多糖体ワクチン(ニューモバックスNP)

長年、定期接種で使用されてきたワクチンで、23種類の型に対応しています。広く普及していますが、免疫の持続期間に限りがあり、5年以上の間隔を空けての再接種が必要になることが多いのが特徴です。2026年4月から65歳の定期接種の助成から外れました。

15価肺炎球菌結合型ワクチン(バクニュバンス)

15種類の型に対応しており、従来の23価ワクチンに比べて免疫を記憶させる力が強いというメリットがありますが、現在はあまり使いどころがないのが現状です。

★20価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー20)

バクニュバンスの特徴を持ちつつ、さらに対応する型を20種類に増やしたものです。より広範囲の菌をカバーでき、2026年4月以降に、65歳の定期接種の対象ワクチンとなりました。ニューモバックスと違い、効果は永続的なため1回の接種な点もメリットです。

★21価肺炎球菌結合型ワクチン(キャップバックス)

プレベナーは肺炎を起こす血清型の56%をカバーできるのに対して、キャップバックスは75%をカバーできるため、プレベナーよりカバー範囲が広いというメリットがあります。効果は永続的で1回の接種で大丈夫です。
新規で接種できるのはもちろんのこと、プレベナーやニューモバックスから1年開いていれば追加で接種することもできます。現在は公費助成対象外であり、任意接種のみとなります。

料金表(目安)

接種区分 ワクチンの種類 自己負担額(税込)
定期接種
(公費助成あり)
プレベナー20

4,000円もしくは5,500円

任意接種 プレベナー20 13,000円
任意接種 キャップバックス 15,000円

※定期接種の自己負担額は、江戸川区の最新の規定に基づきます。生活保護受給世帯や住民税非課税世帯の方は、費用が免除される仕組みがあります。具体的な金額や手続きについては、当院の受付または自治体の保健所へお問い合わせください。その他、大人のワクチンに関することは「大人のワクチン」のページを参照ください。

よくある質問

Q1. 副反応が心配ですが、どのような症状が出ますか?

A1. 多くの場合は軽微で、接種部位の痛み、赤み、腫れなどが数日見られる程度です。中には筋肉痛や倦怠感、軽い発熱が出る方もいますが、通常は1日から2日で自然に治まります。重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーは極めて稀ですが、当院では万全の体制を整えて接種を行っています。

Q2. 5年前に一度打ちましたが、また打つ必要はありますか?

A2. 23価ワクチン(ニューモバックス)を接種した場合、5年以上経過すると免疫が低下してくるため、再接種を検討することが一般的です。ただし、2回目以降の接種は定期接種(公費助成)の対象外となり、自己負担となります。その場合は、プレベナーないしはキャップバックスが推奨されます。

Q3. インフルエンザワクチンと一緒に打てますか?

A3. はい、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンは、医師が必要と認めた場合に同時接種が可能です。別々に打つ場合の接種間隔に制限もありません。冬場の感染症流行に備えて、効率よく予防を行うことができます。

Q4. キャップバックスを自費で打つメリットは何ですか?

A4. 従来のワクチンよりもカバーできる肺炎球菌の種類が多く、結合型ワクチンであるため免疫が長持ちしやすいという特徴があります。近年は プレベナー20 ではカバーしきれない血清型(35B、15A)の報告が増えてきており、キャップバックスはこれらをカバーできるためより良い選択肢と考えられます。

この記事を書いた人

三浦 光太郎|カーサファミリークリニック 院長
循環器専門医・総合内科専門医・医学博士

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