とびひは登園できる?プールは?治療と対応
「虫刺されを掻いていたら、ジュクジュクして広がってきた」「保育園に行っていいのか、休ませるべきか判断できない」「プールはいつから入れる?」
夏になると増えるのが「とびひ」です。正式には伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といい、細菌による皮膚の感染症です。火事の飛び火のようにあっという間に広がることから、この名前がついています。
保護者の方が最も困るのが、登園・登校の判断とプールの可否です。今回は、とびひの症状・治療・集団生活での対応について、実際の診療に基づいて解説します。
とびひとは
皮膚のバリアが壊れたところに細菌が感染して起こります。虫刺され・あせも・湿疹・アトピー性皮膚炎の掻き壊し・すり傷などが入り口になります。
原因菌の多くは黄色ブドウ球菌で、A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)のこともあります。掻いた手で別の場所を触ることで、体のあちこちに広がっていきます。
汗をかきやすく、虫刺されや掻き壊しが増える夏に多く発症します。
2つのタイプがあります
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)
子どもに多いのはこちらです。黄色ブドウ球菌が原因で、水ぶくれができ、破れるとジュクジュクしたただれになります。かゆみが強く、掻くことでどんどん広がります。発熱を伴わないことがほとんどです。
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)
溶連菌が関わるタイプで、厚いかさぶたができ、赤みや炎症が強いのが特徴です。発熱・のどの痛み・リンパ節の腫れを伴うことがあり、季節を問わず起こります。まれに後から腎臓の合併症(急性糸球体腎炎)を起こすことがあるため、注意が必要です。
登園・登校について
とびひは学校保健安全法で出席停止が定められた感染症ではありません。そのため、以下の条件を満たせば登園・登校が可能とされています。
登園・登校できる状態
- 患部に薬を塗り、ガーゼなどでしっかり覆えている
- 覆うことでジュクジュクした液がしみ出ない
- 全身状態がよい(発熱がない・元気がある)
ジュクジュクした液には菌が多く含まれるため、露出させないことが最も重要です。
控えたほうがよい状態
- 患部が広範囲で、覆いきれない
- 発熱がある・元気がない
- 顔など、覆うことが難しい部位に広がっている
ただし、園や学校によって独自のルールを設けている場合があります。「登園許可証が必要か」「乾いていることが条件か」など、施設ごとに対応が異なるため、必ず通っている園・学校に確認してください。
プール・水遊びは治るまで控える
とびひが治りきるまで、プール・水遊びは控えてください。
理由は、
- 肌と肌が触れ合うことで、他の子にうつる可能性がある
- 水に濡れることで患部が悪化する
- 掻き壊しやすくなる
タオル・浮き輪などの共有も感染につながります。園によっては「シャワーのみ可」など個別のルールがある場合もあるため、確認しておくと安心です。
治療について
とびひは自然に治るのを待つ病気ではありません。適切な治療をすることで、広がりを止め、早く治すことができます。
外用薬(塗り薬)
患部が限られている場合は、抗菌薬の塗り薬で治療します。塗った後はガーゼで覆うことが大切です。覆うことで、患部を保護し、掻き壊しと他の人への感染を防げます。なお、患部の消毒は必要ありません。消毒薬はかえって皮膚の回復を妨げることがあります。
内服薬(飲み薬)
患部が広範囲の場合、アトピー性皮膚炎を合併している場合、発熱などの全身症状がある場合は、抗菌薬の内服を行います。ここで知っておいていただきたいのが、とびひの原因となる黄色ブドウ球菌の20〜30%程度が、抗菌薬の効きにくい(MRSAである)という点です。そのため、内服を始めても改善しない場合は、薬の変更が必要になることがあります。「薬を飲んでいるのに広がってきた」というときは、自己判断で様子を見ず、早めに再受診してください。
かゆみへの対応
かゆみが強いと掻き壊して悪化するため、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬を併用することがあります。
家庭でのケア
シャワーで石けんを使ってやさしく洗う
「濡らしてはいけない」と思われがちですが、**むしろ患部を清潔に保つことが大切です。シャワーで石けんをよく泡立て、やさしく洗い流してください。ゴシゴシこするのは避けます。ただし湯船は、家族への感染を防ぐため避けたほうが安心です。
爪を短く切る
掻き壊しが広がる最大の原因です。爪を短くし、可能であれば手袋などで対策します。
ガーゼは汚れたら交換する
交換の前後は必ず手を洗ってください。
タオル・寝具を共有しない
兄弟間での感染が非常に多いため、タオルは個別にしてください。
受診の目安
早めに受診をおすすめします
- ジュクジュクした部分が広がってきている
- 虫刺されや湿疹を掻き壊して、水ぶくれができた
- 塗り薬を使っても改善しない
- 兄弟にうつった
- 登園・登校の判断に迷っている
とくに早めに
- 発熱がある
- 元気がない・機嫌が悪い
- 厚いかさぶたができている
- のどの痛みやリンパ節の腫れを伴う
とびひは放置すると数日で急速に広がることがあります。「様子を見よう」と迷っているうちに全身に広がってしまうケースも少なくありません。気づいた段階で早めに受診してください。
予防が最も大切です
とびひは、掻き壊さないことが最大の予防になります。
- 虫刺されは早めにかゆみ止めで対処する
- あせもを作らないよう、汗をかいたらシャワーで流す
- 湿疹・アトピー性皮膚炎はしっかり治療しておく
- 爪を短く保つ
とくにアトピー性皮膚炎のお子さんは、とびひを起こしやすく、重症化しやすい傾向があります。日頃から皮膚の状態を整えておくことが、夏のとびひ予防につながります。虫刺されの対処についてはこちらの記事、アトピー性皮膚炎の治療についてはこちらの記事もご覧ください。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原因 | 掻き壊しから細菌が感染 |
| 登園・登校 | 薬を塗りガーゼで覆えていれば可能(園に要確認) |
| プール | 治るまで禁止 |
| 治療 | 抗菌薬の外用・内服 |
| 家庭でのケア | シャワーで清潔に・爪を短く・タオルは共有しない |
| 注意点 | 改善しない場合は薬の変更が必要なことも |
とびひは適切に治療すれば治る病気ですが、放置すると急速に広がります。「掻き壊してジュクジュクしてきた」という段階で、早めにご相談ください。
葛西・西葛西・江戸川区でとびひのご相談は、カーサファミリークリニックへ。南葛西・清新町・中葛西エリアからもご来院いただいています。
📌 カーサファミリークリニックでは、とびひの診察・治療、登園登校の判断についてのご相談を承っています。アトピー性皮膚炎・虫刺されの治療にも対応しています。
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参考文献
- 日本小児皮膚科学会:とびひ(伝染性膿痂疹)
- 皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。登園・登校の判断は施設のルールにより異なりますので、必ず園・学校にご確認ください。
この記事を書いた人
三浦 陽子|カーサファミリークリニック 副院長
小児科専門医・指導医・アレルギー専門医・医学博士
国立病院機構相模原病院にて8年間、小児アレルギーの診療・研究に従事。
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