HPV(子宮頸がん)ワクチンは夏休みが接種のチャンス
「子宮頸がんワクチンを打った方がいいと聞くけれど、いつ受ければいいの?」「うちの子は対象なの?無料で受けられる?」「男の子も接種した方がいいの?」
小学6年生〜高校1年生のお子さんを持つ保護者の方から、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについてこうしたご相談をいただくことが増えています。かつては女の子のワクチンというイメージが強くありましたが、現在は男の子も接種の対象となっており、江戸川区でも男子への費用助成が始まっています。
そして、夏休みはHPVワクチンの接種を始めるのに最も適したタイミングです。今回は、HPVワクチンの基礎知識・接種スケジュール・江戸川区の助成・注意点を、葛西・西葛西エリアの保護者の方に向けてわかりやすく解説します。
HPVワクチンとは?
HPVワクチンは、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンです。HPVは主に性的接触によって感染するウイルスで、男女を問わず多くの人が生涯に一度は感染するとされる、ごくありふれたウイルスです。感染しても多くは自然に排除されますが、一部が持続感染することで、数年〜数十年をかけてがんなどに進行することがあります。
女性では子宮頸がんの原因となり、HPVワクチンの接種で子宮頸がんの原因の50〜70%以上を予防できるとされています。男性でも、HPVは中咽頭がん・肛門がん・尖圭コンジローマ(性感染症)などの原因となることがわかっており、ワクチンでこれらの予防が期待できます。
また、男性が接種することは自分自身の健康を守るだけでなく、性交渉によるHPV感染からパートナーを守り、女性の子宮頸がん予防にもつながると考えられています。
現在、日本で使用されているのは9種類のHPVの型に対応した「シルガード9(9価ワクチン)」で、より高い予防効果が期待できます。
なぜ夏休みが接種の好機なのか
HPVワクチンは、約6ヶ月かけて複数回接種する必要があります。この「6ヶ月かけて複数回」という点が、夏休みの接種開始をおすすめする理由です。
① スケジュールを組みやすい
夏休みに1回目を接種すれば、その後の接種も計画的に進められます。部活動・勉強・受験などが本格化する前に接種計画を立てられます。
② 長期休みで体調管理しやすい
接種後は体調の変化に気を配る必要があります。時間に余裕のある長期休みなら、接種後の様子をゆっくり見守ることができます。
③ 学校を休まずに受けられる
平日の放課後や休みの日に接種でき、授業を休む必要がありません。
接種スケジュール(回数は開始年齢によって異なる)
接種回数は、1回目を受ける年齢によって変わります。
15歳になるまでに1回目を接種する場合
合計2回で完了します。
1回目
↓ 6ヶ月後
2回目(完了)
15歳になってから1回目を接種する場合
合計3回の接種が必要です。
1回目
↓ 2ヶ月後
2回目
↓ 1回目から6ヶ月後
3回目(完了)
15歳になる前に始めれば接種回数が1回少なくて済むため、早めに始めることで本人の負担も軽くなります。
公費・助成で接種できる対象と期限
HPVワクチンは、女の子は「定期接種」、男の子は江戸川区の「区独自の助成事業」として、費用の負担なく(または軽減されて)接種できます。
女の子:定期接種(公費・無料)
HPVワクチンは女の子にとっては定期接種のワクチンで、小学校6年生〜高校1年生相当は公費(原則自己負担なし)で接種できます。具体的には、12歳になる年度の4月1日〜16歳になる年度の3月31日までの女の子が対象です。標準的な接種時期は中学1年生相当とされています。
なお、令和8年度から江戸川区の定期接種で使用するワクチンは、9価ワクチン(シルガード9)のみとなっています。
特に注意が必要なのが「高校1年生相当」の方です。 高校1年生相当の方が無料で3回の接種を完了するには、12月31日までに2回目の接種を終える必要があります(江戸川区の案内より)。3回の接種を完了するには約6ヶ月かかるため、期限に間に合わせるには早めに1回目を接種することが大切です。夏休みに始めておけば、余裕を持って接種を完了できます。
(注)平成9年4月2日〜平成21年4月1日生まれの女子を対象としたキャッチアップ接種は、令和8年3月31日で終了しています。
男の子:江戸川区の助成事業
江戸川区では、男の子へのHPVワクチン接種費用の助成事業を実施しています。
- 対象:江戸川区在住の小学校6年生〜高校1年生相当の男子(12歳になる年度の4月1日〜16歳になる年度の3月31日)
- 費用:区の助成により接種を受けられます(区独自事業・任意接種)
- 注意:高校1年生相当の方は、9月までに接種を開始しないと一部自己負担になる可能性があります
男の子の接種は予防接種法に基づく定期接種ではなく「任意接種」の位置づけですが、江戸川区では費用助成によって接種しやすい環境が整えられています。
男の子の接種には事前の予診票申請が必要
江戸川区の男子HPVワクチン助成を受けるには、事前に予診票の交付申請が必要です。
- 電子申請(LoGoフォーム)または郵送で申請します
- 申請から予診票がご自宅に届くまで2週間程度かかります
- 予診票を持たずに接種すると全額自己負担となり、後からの費用還付はできません
- 助成が受けられるのは江戸川区内の指定医療機関のみです(区外の医療機関は対象外)
接種を希望される場合は、まず江戸川区への予診票申請を行い、予診票が届いてから医療機関を予約する流れになります。時間に余裕をもって、早めに申請することをおすすめします。詳しくは江戸川区の公式ホームページをご確認ください。
なお、女子の定期接種は指定医療機関以外での接種・予診票を持参しない場合・対象期間を1日でも過ぎた場合は有料(自費)になりますのでご注意ください。公費・助成の対象外で自費接種する場合、シルガード9を3回接種すると約10万円程度かかります。対象の方は、この機会をぜひご活用ください。
HPVワクチンの安全性について
HPVワクチンは、過去に副反応の報告をきっかけに、国が積極的な接種のお勧めを一時的に控えていた時期がありました。しかし、その後の国内外の多くの研究により、ワクチンの安全性と有効性が改めて確認され、2022年4月から他の定期接種と同様に接種がお勧めされています。
他のワクチンと同様に、接種後に発熱・接種部位の痛み・腫れなどが起こることがあります。また、注射の痛みや緊張・恐怖をきっかけとした「失神」が起こることがある点には特に注意が必要です。接種後は、移動の際に保護者や医療従事者が腕を支えるなどして付き添い、接種後30分程度は座って(体重を預けられる姿勢で)待機し、なるべく急に立ち上がらないようにしてください。失神による転倒でけがをする事例も報告されているため、この点は他のワクチン以上に気をつけていただきたいポイントです。
接種後に気になる症状が出た場合は、すぐに医療機関にご相談ください。「副反応が心配で迷っている」という方も、まずは正しい情報をもとに、疑問や不安を医師に相談したうえで判断していただくことが大切です。当院でも、接種前のご相談を承っています。
接種時の保護者の同伴について
予防接種は原則として保護者の同伴が必要ですが、女子の定期接種については年齢に応じて以下のような取り扱いがあります(江戸川区の案内より)。
- 13歳以上15歳以下:同意書に保護者が必要事項を記入し、予診票と一緒に医療機関へ持参すれば、保護者の同伴は不要になる場合があります
- 16歳以上:保護者の同意・同伴は不要です。本人が予診票に自署することで接種できます
同伴なしで接種を希望される場合は、必要な書類・記入方法が予診票の様式によって異なるため、事前に江戸川区の案内をご確認いただくか、当院にお問い合わせください。
接種後も子宮頸がん検診は必須
ここで重要なことをお伝えします。HPVワクチンを接種しても、すべての子宮頸がんを防げるわけではありません。
HPVワクチンは主要な原因ウイルスを防ぎますが、ワクチンでカバーしていない型のHPVもあります。そのため、ワクチンを接種した方も、20歳以降は定期的に子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。
「ワクチンで予防」+「検診で早期発見」という2つの対策を組み合わせることが、子宮頸がんから身を守る最善の方法です。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(女子) | 小6〜高1相当(定期接種・公費無料) |
| 対象(男子) | 小6〜高1相当(江戸川区の助成事業) |
| 接種回数 | 15歳未満で開始→2回/15歳以上→3回 |
| 接種期間 | 約6ヶ月かけて完了 |
| 女子・高1相当の期限 | 12月31日までに2回目接種を終える必要あり |
| 男子の予診票申請 | 事前申請が必要(発行まで約2週間) |
| 夏休みがおすすめの理由 | スケジュールを組みやすく体調管理しやすい |
| 接種後(女性) | 20歳以降は子宮頸がん検診を |
HPVワクチンは、約6ヶ月かけて接種するため、計画的に始めることが大切です。時間に余裕のある夏休みは、接種をスタートする絶好のタイミングです。
「うちの子は対象になる?」「スケジュールを相談したい」「副反応について詳しく聞きたい」という方は、葛西・西葛西・江戸川区のカーサファミリークリニックにお気軽にご相談ください。南葛西・清新町・中葛西エリアからもご来院いただいています。
📌 カーサファミリークリニックでは、HPVワクチンの接種・接種前のご相談を承っています。 葛西・西葛西・江戸川区でのHPVワクチンのご相談は、WEB予約・LINE予約からどうぞ。接種の際は予診票をお持ちください(女子は自治体から届く予診票、男子は事前申請で交付される予診票が必要です)。
カーサファミリークリニック 小児科・内科|葛西・西葛西(江戸川区) 📍 東京都江戸川区西葛西8丁目18-18(葛西防災公園北隣)
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関連ページ
参考文献
- 厚生労働省:ヒトパピローマウイルス感染症〜子宮頸がんとHPVワクチン〜
- 東京都保健医療局:HPVワクチンの定期予防接種について
- 厚生労働省:HPVワクチンに関するQ&A
- 江戸川区:HPVワクチン(子宮頸がん)予防接種
- 江戸川区:【区独自事業】男性HPVワクチン任意予防接種費用助成
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。接種にあたっては必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
三浦 陽子|カーサファミリークリニック 副院長
小児科専門医・指導医・アレルギー専門医・医学博士
国立病院機構相模原病院にて8年間、小児アレルギーの診療・研究に従事。
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