健康診断で「要再検査」「要精密検査」と言われたら
7月から8月にかけて、職場の健康診断結果が手元に届く方が増えます。この記事では、健診結果の判定区分の見方と、血圧・コレステロール・血糖・心電図・肝機能といった項目別の考え方、そして受診の流れまでをまとめてお伝えします。読み終わる頃には「何をすればいいか」がはっきりしてくれるように書きました。
「要再検査」と「要精密検査」はどう違う?
健診結果には、項目ごとにA〜Eなどのアルファベット判定がついています。健診機関によって表記は多少異なりますが、おおまかな意味は共通です。
| 判定 | 意味 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| A | 異常なし | 今の生活を続けてOK |
| B | 軽度の異常(日常生活に支障なし) | 生活習慣を見直しつつ経過観察 |
| C | 要経過観察・要再検査 | 指定された時期(3〜12ヶ月後など)に再検査 |
| D | 要精密検査・要治療 | 早めに医療機関を受診 |
| E | 治療中 | 主治医の治療を継続 |
「要再検査」は、たまたまその日の数値が高かった可能性を確かめるための再測定。「要精密検査」は、異常の原因をより詳しい検査で調べる段階です。どちらの場合も、まず内科でご相談いただければ、必要な検査の見極めからスタートできます。
放置がこわい理由は、自覚症状のない異常ほど静かに進むからです
血圧・血糖・コレステロールの異常には、共通する特徴があります。初期にはほとんど自覚症状がないことです。痛くもかゆくもないまま数年が過ぎ、動脈硬化が進み、あるとき心筋梗塞や脳卒中という形で現れる。高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれるのはこのためです。
実際、健診で精密検査が必要とされた方のうち、医療機関の受診につながらないまま翌年の健診を迎えてしまう方が少なくないことが、国の調査でも課題として指摘されています。逆に言えば、結果票が届いたいまこそが、いちばん行動につながりやすいタイミングと思います。
健診の結果票をそのままお持ちいただければ、どの項目にどんな検査・対応が必要か、医師が一緒に整理します。
血圧が高め
診察室での血圧が140/90mmHg以上になると高血圧と診断されます(高血圧治療ガイドライン2019)。健診で一度高かっただけでは決めつけられないため、まずは家庭での血圧測定や再測定で「本当に高いのか」を確かめます。
そのうえで必要な方には、心電図や心臓超音波で心臓への負担をを調べます。また、血圧が上昇するような病気もあるため、採血でそれらをスクリーニングします。当院は循環器専門医として、血圧から心臓・血管まで一続きに診療しています。
LDLコレステロールが高い
LDL(悪玉)コレステロールは140mg/dL以上で「高LDLコレステロール血症」とされます(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022)。数値そのものよりも大切なのは、年齢・血圧・喫煙・糖尿病の有無などを合わせた「動脈硬化の総合リスク」で治療方針を決めることです。
同じLDL 150mg/dLでも、ほかのリスクが少ない方は食事と運動の見直しから、リスクが重なる方は薬物療法も含めて検討するというように、対応は一人ひとり違います。健診結果と生活状況を見ながら、自分自身に合った目標値をご提案します。
血糖値・HbA1cが基準を超えたら
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は過去1〜2ヶ月の血糖の平均を映す数値で、6.5%以上は糖尿病型と判定されます。注意したいのは6.0〜6.4%の「境界型(糖尿病予備軍)」の段階です。この時期に生活を立て直せるかどうかで、その後の道筋が大きく変わることが知られています。
当院は糖尿病治療にも力を入れており、食事・運動のアドバイスから薬物療法、定期的な採血フォローまで院内で完結します。
心電図で異常あり
健診の心電図でよく指摘されるのは、不整脈の疑い、ST-T変化、左室肥大などです。名前だけ見ると不安になりますが、精密検査の結果、心配のないタイプと分かるケースも多くあります。大切なのは、放置してよいものかどうかを専門的に見極めることと考えます。
当院では12誘導心電図に加え、24時間心電図(ホルター心電図)や心臓超音波検査を院内で実施できます。循環器専門医が結果を直接ご説明しますので、「大きな病院に行くほどではない気がするけれど、心臓のことは不安」という方の最初の窓口としてご利用ください。
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)の数値が高い
肝機能の異常は、お酒を飲む方だけの問題ではありません。近年増えているのが、飲酒習慣がなくても脂肪肝から肝機能異常をきたすケースです。肝臓も沈黙の臓器と呼ばれ、自覚症状が出る頃には進行していることがあります。
再検査では採血で数値の推移を確認し、必要に応じて腹部超音波検査で肝臓の状態を直接調べます。体重や食生活との関連が深い項目なので、数値の改善をゴールに生活面も一緒に見直していきましょう。
当院での再検査・精密検査の流れ
①結果票を拝見しながら問診 → ②必要な検査を選んで実施(採血・心電図・ホルター心電図・心臓超音波・腹部超音波・レントゲンなど院内対応)→ ③結果のご説明と治療方針の相談 → ④生活改善のフォローや定期通院で経過を一緒に見守る、という一貫対応です。院内処方にも対応しているため、お薬が必要になった場合も薬局に回らずお帰りいただけます。
当院では、健診結果の読み解きから再検査・精密検査、治療、その後のフォローアップまでを院内で一貫して行っています。健診結果が手元に届いたら、どうぞ結果票をそのまま当院へお持ちください。
参考文献
- 日本人間ドック・予防医療学会「判定区分」
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
- 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」
