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卵アレルギーでもインフルエンザワクチンは打てます

[2026.07.07]

「卵アレルギーがあるけど、インフルエンザワクチンを打っても大丈夫?」「ワクチンには卵が入っているって聞いたけど、アレルギー反応が心配…」「毎年、接種していいのか迷ってしまう」
秋になると、卵アレルギーのお子さんを持つ保護者の方から、こうしたご相談が急増します。インフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵を使用するため、卵アレルギーがあると接種してよいのか不安に思われる方は少なくありません。

結論からお伝えしますと、卵アレルギーがあっても生後6か月から、ほとんどの方はインフルエンザワクチンを接種できます。今回は、その理由と注意点を、アレルギー専門医の立場からわかりやすく解説します。

結論:卵アレルギーがあっても接種できます

厚生労働省・日本小児科学会・日本アレルギー学会はいずれも、「卵アレルギーがあっても、インフルエンザワクチンは基本的に通常どおり接種可能」という見解を示しています。
実際に、鶏卵アレルギーがある人とない人を比較しても、鶏卵アレルギーがある人の方がワクチンでアナフィラキシーを起こしやすいわけではないことがわかっています。そのため、鶏卵アレルギーの重症度に関わらず、通常のワクチン接種の注意以上に追加の予防措置を取らずに接種できるとされています。

なぜ卵アレルギーでも接種できるの?

インフルエンザワクチンは製造過程で発育鶏卵(有精卵)を使用しますが、最終的にワクチンに含まれる卵タンパク質(オボアルブミン)の量は非常にわずかです。
現在の国内のインフルエンザワクチンに含まれる卵タンパク質の量は非常に微量で、アレルギー反応を起こすには至らないレベルまで精製されています。海外の研究では、ワクチンに含まれる卵タンパク質の量が一定量以下であれば、アレルギー反応を起こすことなく接種が可能であることが確認されています。日本のワクチンは海外のものよりさらに卵成分の含有量が少なく、より安全と考えられています。

イメージしやすい例を挙げると、卵1個分の卵白タンパク質を摂取するには、膨大な量のワクチンが必要になる計算です。実際に接種する0.25〜0.5mL程度のワクチンに含まれる卵成分は、症状を起こすにはあまりにも微量なのです。

ほとんどの方は特別な対応なしで接種できます

卵アレルギーがあっても、また過去に卵でアナフィラキシーを起こしたことがある方でも、最新の見解では特別な予防措置なしでインフルエンザワクチンを接種できるとされています。
ただし、以下に当てはまる方は、念のため接種前に医師にお伝えください。「接種できない」ということではなく、より安心して接種いただくための確認です。

①過去にインフルエンザワクチンそのものでアレルギー反応が出た

卵ではなく、ワクチンに含まれる他の成分(インフルエンザ蛋白・ゼラチン・抗菌薬・添加剤など)に反応した可能性があります。この場合は卵アレルギーとは別の観点での判断が必要になるため、接種前に必ず医師に相談してください。

②卵の摂取で過去にアナフィラキシーを起こしたことがある

このような方も接種は可能とされています。ただし当院では、万が一に備えて接種後の観察時間を少し長めにとるなど、慎重に対応します。心配なことがあれば事前にご相談ください。

重症の卵アレルギーでもワクチンでアナフィラキシーの報告はほぼない

「重症の卵アレルギーだと、やっぱりワクチンでアナフィラキシーが起きるのでは?」と心配される方は多いです。しかし、これは現在のエビデンスでは否定されています。

海外で行われた、卵アレルギーのある人へのインフルエンザワクチン接種後の反応を調べた20以上の研究(卵に対する重度のアレルギー反応やアナフィラキシーの既往がある人を含む研究も含まれています)を評価した結果、これらの研究では卵成分が原因のアナフィラキシーは一例も報告されていません。この結果をもとに、米国では過去の卵アレルギー反応の重症度にかかわらず、卵アレルギーのある生後6ヶ月以上のすべての人がインフルエンザワクチンを接種してよいと勧告されています。

まれにインフルエンザワクチン接種後にアナフィラキシーが起こることはあります(日本では因果関係が不明なものも含め1シーズンに約20件程度の報告があります)。しかし、日本の研究では、こうしたアナフィラキシーの原因は卵ではなく、インフルエンザウイルスの成分(HA蛋白)そのものや、ワクチンに含まれる添加剤によるものと考えられており、鶏卵アレルギーの関与は低いと報告されています。

つまり、「卵アレルギーだからワクチンでアナフィラキシーが起きる」という心配は、現在の研究では根拠が乏しいと考えられています。ただし、過去にアナフィラキシーを起こした方は接種後の観察を慎重に行うなど、個別の配慮を行いますので、事前に医師にお伝えください。

接種前に皮膚テストは必要?少量から分けて打つべき?

「卵アレルギーがあるから、まず皮膚テストをした方がいい?」「量を減らして2回に分けて打った方が安全?」というご質問をよくいただきます。
現在のガイドラインでは、卵アレルギーがあることを理由に、接種前の皮膚テストや、分割接種(2回に分けて打つ方法)をルーティンで行う必要はないとされています。これらは以前は行われていましたが、現在は多くの卵アレルギー患者さんで不要と考えられています。
ただし、過去にアナフィラキシーを起こしたことがあるなど個別に慎重な対応が必要な場合は、医師が判断して対応します。

フルミスト(経鼻ワクチン)はどうなのか?

2024年から、注射ではなく鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト(経鼻弱毒生ワクチン)」が日本でも使用できるようになりました。2〜18歳が対象で、注射が苦手なお子さんにとって選択肢が増えました。
フルミストも製造過程で鶏卵を使用しますが、卵アレルギーがあっても接種可能とされています。ただし、フルミストは生ワクチンのため、重症の喘息がある方・免疫不全の方など接種できないケースがあります。卵アレルギーとは別の観点での適応判断が必要なため、接種を希望される場合は医師にご相談ください。フルミストの詳しい適応・注意点については、インフルエンザ点鼻ワクチン(フルミスト®)についての記事で解説しています。

接種当日に気をつけること

卵アレルギーの有無にかかわらず、ワクチン接種当日は以下の点に注意してください。

  • 体調が良いときに接種する(発熱・強い咳・体調不良のときは延期)
  • 接種後30分程度は、自宅またはクリニック近くで様子を見る(アナフィラキシーは接種後短時間で起きることが多いため)
  • 接種後に体調の変化があればすぐに医療機関へ

当院では、アレルギーのあるお子さんの予防接種も安全に配慮した環境で行っています。エピペンや救急対応の準備も整えていますので、安心してご相談ください。
なお、インフルエンザワクチンは生後6ヶ月から接種可能です。赤ちゃんが接種する意義や接種回数については、赤ちゃんもインフルエンザワクチンを接種したほうがよい理由の記事で詳しく解説しています

MRワクチン・おたふくワクチンはどうなの?

卵アレルギーで心配される他のワクチンについても触れておきます。

MRワクチン(麻しん・風しん)・おたふくかぜワクチンは、製造過程でニワトリ胚培養細胞を使用しますが、含まれる卵成分は極めて微量です。そのため、卵アレルギーがあっても通常どおり接種可能とされています。インフルエンザワクチンよりもさらに卵成分が少なく、より安全と考えられています。
「卵アレルギーだからワクチンが打てない」と諦める必要はほとんどありません。不安な場合は、まずご相談ください。

まとめ

項目 内容
基本的な考え方 卵アレルギーがあっても、生後6か月から接種可能
理由 ワクチンの卵タンパク質量が極めて微量
皮膚テスト・分割接種 通常は不要
注意が必要なケース

卵で過去にアナフィラキシー→接種可(念のため相談)/ワクチンで反応→要相談

MR・おたふくワクチン 卵アレルギーでも通常どおり接種可能
迷ったら 接種前にアレルギー専門医に相談を

卵アレルギーがあっても、ほとんどのお子さん・大人はインフルエンザワクチンを安全に接種できます。「うちの子は打っても大丈夫かな」と不安な方、過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方は、葛西・西葛西・江戸川区のカーサファミリークリニックにお気軽にご相談ください。南葛西・清新町・中葛西エリアからもご来院いただいています。

📌 カーサファミリークリニックでは、卵アレルギーのあるお子さんの予防接種のご相談・アレルギー検査・エピペン処方に対応しています。 葛西・西葛西・江戸川区での予防接種のご相談は、WEB予約・LINE予約からどうぞ。

カーサファミリークリニック 小児科・アレルギー科|葛西・西葛西(江戸川区)
📍 東京都江戸川区西葛西8丁目18-18(葛西防災公園北隣) 🚌 西葛西駅からバス7分・徒歩17分 🚗 駐車場4台あり
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参考文献

  • 日本小児アレルギー学会:食物アレルギー診療ガイドライン2024
  • 日本小児科学会:予防接種に関する見解

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。接種の可否については必ず医師にご相談ください。

この記事を書いた人

三浦 陽子|カーサファミリークリニック 副院長
小児科専門医・指導医・アレルギー専門医・医学博士
国立病院機構相模原病院にて8年間、小児アレルギーの診療・研究に従事。
→副院長のプロフィールを見る

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