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歯の痛みと心臓病の意外な関係

[2025.09.26]

心臓病と歯の痛み

「歯が痛い」と思って歯科医院へ行ったら実は歯には異常がなく、心臓病(狭心症)が原因だった、という話があります。狭心症などで胸が痛むときに、実際には歯やあごに痛みを感じる人が意外に多いのです。あるデータでは、狭心症患者の約3割に歯の痛みがあることが報告されています。また、心筋梗塞の経験者の約4割が顔やあごの痛みや歯の痛みを訴えたという報告もあります。このように、歯の痛みと心臓の病気は一見関係ないように思えますが、実際には関係していることがあります。

なぜ心臓の痛みがあごや歯に広がるのか

これは「関連痛(放散痛)」という現象によります。心臓で発生した痛みの信号は、首や左肩を経由して脳に伝わりますが、神経のつながりがあごや歯と重なっているため、脳は痛みをあごや歯から来ていると誤認してしまいます。つまり、歯やあごで痛みを感じるのは、心臓からの痛みが神経の伝達経路上で広がってしまうためです。放散痛は必ずしも起きるというわけではありませんが、発生すると狭心症の診断において重要なサインです。

こんな症状に注意です

以下のような状況が重なったときは、歯痛でも心臓病(狭心症)の可能性を疑う必要があります

  • 家族に心臓病や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の既往がある場合

  • 「朝寝ている時、起きたとき」や「運動中・階段を上っている時」など、同じ条件で歯やあごが痛む場合

  • 高血圧、糖尿病、肥満、喫煙など心臓病の危険因子がある場合

  • 歯科で検査しても虫歯や歯周病など明らかな原因が見つからない場合

これらはすべて、狭心症を起こしやすい環境や条件にあてはまります。また、歯痛以外にも「左肩や左腕の痛み」「みぞおちの痛み」「胸や背中の圧迫感」「息切れ」「冷や汗」「倦怠感」などの症状が同時にあれば、歯科だけでなく循環器の検査も考えるべきです。

歯の痛み以外の症状もあったらどうする?

  • 胸に強い痛みや圧迫感がある場合: 胸が押しつぶされるような痛みや強い圧迫感を感じたら、すぐに救急車を呼ぶか病院を受診しましょう。時間との勝負になる急性心筋梗塞の可能性があります。

  • 息苦しさなどがある場合: 歯やあごの痛みが長時間続いたり、倦怠感・息切れ・動悸などの症状を伴う場合は、早めに専門医を受診しましょう。歯の治療ではなく、循環器科で心電図や血液検査を受けることが必要かもしれません。

まとめ

歯の痛みを感じても、必ずしも虫歯や歯周病が原因とは限りません。場合によっては、狭心症など心臓の病気のサインとして現れている可能性があります。ご紹介したような「動いたときに出る歯やあごの痛み」「歯科検査で原因不明の痛み」などがあれば、必ず医師に相談しましょう。必要に応じて歯科だけでなく循環器科の専門医にも相談することで、重大な病気を早期に見つけられるかもしれません。

この記事を書いた人

三浦 光太郎|カーサファミリークリニック 院長
循環器専門医・総合内科専門医・医学博士

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