夜や安静時の胸痛が特徴の冠攣縮性狭心症とは?
冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)とは?(異型狭心症・Vasospastic Angina: VSA)
「夜中や明け方に突然胸が締めつけられる」「安静にしているのに胸が痛む」こんな症状がある場合、冠攣縮(れんしゅく)性狭心症の可能性があります。
よく耳にする狭心症(労作性狭心症)とは、動脈硬化によって心臓の周りを流れている冠動脈という血管の内側が狭くなり、運動や階段の昇降などで心臓に負担がかかったときに胸痛が出るのが特徴です。
一方で、今回解説する冠れん縮性狭心症は、動脈硬化(プラーク)による血管の狭窄ではなく、冠動脈が一時的に強く収縮(けいれん)して血流が途絶えることで起こります。そのため 安静時や夜間・早朝に症状が出やすく、動いているときには症状が全くないことも多い という特徴があります。
このタイプの狭心症は比較的若い日本人や女性に比較的多く見られ、診断が遅れると重症の場合は心筋梗塞や悪い不整脈の発症につながることもあるため、早期発見や診断と治療が重要となってきます。
症状
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安静時、特に夜間〜早朝におきる胸の痛みが典型的です
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痛みの持続時間は数分〜20分ほどのことが多く、首や顎、肩へ放散することもあり、しばしば冷や汗を伴うことがあります
胸の痛みと記載していますが、狭心症は胸が痛い場合もあれば胸の違和感程度の症状のことも多いです。胸の症状に関しては下記の記事も参考にされてください。
検査方法
- 問診
まず問診で、いつどのような症状が起き、持続した時間や頻度などを問診します。発症のリスクに脂質異常症や喫煙歴などもあるため、これらの問診を行います
- 心電図
外来受診したときは症状がないことが多いですが、狭心症発作による心臓への影響を調べるために心電図検査を行います
- 採血
採血を行い、脂質異常症の有無を含めて、一般的なスクリーニングを行います。
- 心臓超音波
心臓の収縮力の低下がないかや弁膜症の有無のスクリーニングを検査します
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24時間ホルター心電図
24時間心電図をモニタリングすることで発作時の心電図の変化(ST変化)を捉える検査を行います
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アセチルコリン負荷による冠動脈造影検査 (入院施設での検査になります)
アセチルコリンという冠動脈をれん縮する作用のある薬剤を使用し、冠動脈造影を行うことで確定診断を行います。負荷検査に関しては全員が対象となるわけではなく、とりわけリスクが高い方に行われることが多い検査です。
この疾患の診断の困難さ
冠れん縮性狭心症は、なかなか診断がつきにくい病気のひとつです。発作は5〜15分ほどで自然におさまってしまうため、病院に着いたときやクリニックに来るときには痛みが消えており、心電図や血液検査、心臓超音波をしても異常が見つからないことが多いです。そのため「問題はありません」と言われてしまうケースも少なくありません。
さらに、冠れん縮性狭心症は夜から明け方にかけて起こりやすく、この時間帯は医療機関が閉まっていることも多いため、診察のタイミングが難しくなることもあります。発作の頻度にも大きな幅があり、毎日のように起こる方もいれば数週間から数か月に一度という方もいて、予測しづらいのも特徴です。、そのため、ホルター心電図検査を行ってもその時に発作が起きなければ、異常なしと診断されてしまいます。
こうした理由から診断に時間がかかることがありますが、冠れん縮性狭心症の可能性が高いと専門医が判断をすれば、入院をして行うアセチルコリン負荷による冠動脈造影検査を行うことで診断をつけることがあります。
また、「治療的診断」といって、治療薬を使い始めたあとに症状がはっきり出なくなれば、冠攣縮性狭心症であった可能性が高いと判断できる方法もあります。
発作のリスク因子
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タバコ
一番大きな原因です。喫煙は発作が起きやすくなるうえ、血管を傷めてさらにけいれんを悪化させてしまいます。 -
アルコール
特に「深酒した翌朝」が危険です。体内のマグネシウムが減り、血管がけいれんしやすくなります。 -
寒さ
冬の冷たい空気や朝の冷え込みで血管が収縮し、発作が起きやすくなります。 -
ストレスや疲れ
精神的な緊張や、過労などで自律神経が乱れると、血管が急に収縮しやすくなります。 -
過呼吸(息をはきすぎること)
過呼吸は血管を収縮する作用があるため、胸痛発作が起きることがあります。 -
薬の影響
一部の薬は冠れん縮を悪化させます。たとえば、-
β遮断薬(心臓や血圧の薬)
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片頭痛の薬(トリプタン製剤など)
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一部の抗がん剤
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などです。
治療方法
生活環境の見直し
喫煙している場合は、禁煙が最も重要です。飲酒も冠れん縮を誘発するリスク因子であるため、禁酒が必要です。さらに、強いストレス環境にある場合は、それを改善できるようようにすることが大切です。
薬物治療
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カルシウム拮抗薬(Caチャンネルブロッカー) が第一選択で、この薬は血管拡張作用があり、血管のれん縮を抑制する効果があります
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短時間作用型硝酸薬(ニトロペンなど) は発作時に速やかに効果を発揮し、長時間作用型硝酸薬で血管のれん縮を抑制する効果を期待します
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スタチン療法 も冠動脈の動脈硬化を抑え、再発防止に有効とされます
なぜ早期診断が大切か
冠れん縮性狭心症は急性心筋梗塞や致死性不整脈を引き起こすリスクがありますが、適切な治療により発作を抑えることができます。
胸の痛みが「夜間・安静時に出る」や「硝酸薬などのお薬で改善する」などが当てはまれば、冠れん縮性狭心症の可能性が高く、内服をすることで発作を抑えることが重要となります。
冠れん縮性狭心症は日本人にも多いタイプの狭心症です。夜や早朝に胸が痛むときは、疲れや胃の不調と勘違いされやすいですが、心臓の病気のサインかもしれません。正しい診断と治療で発作を防ぐことができますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
三浦 光太郎|カーサファミリークリニック 院長
循環器専門医・総合内科専門医・医学博士
