アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー・花粉症)
アレルギー性鼻炎・花粉症とは
アレルギー性鼻炎とは、アレルゲン(アレルギーの原因物質)に対して免疫システムが過剰に反応することで、鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状が引き起こされる病気です。
アレルギー性鼻炎は、症状が現れる時期によって大きく2つに分けられます。
通年性アレルギー性鼻炎 ダニやハウスダストが主な原因で、季節に関係なく一年中症状が続きます。特に梅雨時や秋はダニが増殖しやすく、症状が悪化しやすい時期です。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症) スギ・ヒノキ(春)、カモガヤ・ブタクサ(秋)などの花粉が原因で、特定の季節にくしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状が現れます。日本はスギやダニが非常に多い環境のため、環境対策だけで症状を抑えることは難しく、適切な治療が必要です。
放置するとどうなるの?
「鼻水が出る程度」と軽く見られがちなアレルギー性鼻炎ですが、適切な治療をせずに放置すると、さまざまな影響が生じることがあります。
お子さんの場合:慢性的な鼻づまりから中耳炎・副鼻腔炎へと発展することがある
集中力・学習への影響:鼻づまりによる睡眠の質の低下が、日中の集中力や学業・仕事のパフォーマンスに影響する
アレルギーマーチ:アレルギー性鼻炎を放置すると、気管支喘息へと進展するリスクがある
症状が軽くても、生活の質(QOL)に影響が出ているようであれば、早めに受診することをおすすめします。
診断の流れ
アレルギー性鼻炎の診断は、以下の流れで行います。
① 問診 いつから・どんな症状が・どのような状況で出るかを詳しく確認します。
② 血液検査・皮膚テスト 血液検査(特異的IgE抗体検査)で、ダニ・スギ・ヒノキなど原因となるアレルゲンを特定します。原因が明確になることで、環境対策や舌下免疫療法など、より適切な治療につなげることができます。
治療法について
アレルゲンの除去(環境対策)
治療の基本はアレルゲンをできるだけ避けることです。
ダニ・ハウスダスト対策
- こまめな掃除・布団の日光干しや乾燥機の使用
- ダニを通しにくい素材の布団カバーを使用
- カーペットや布製ソファーはできるだけ避ける
花粉対策
- 花粉の飛散が多い日は外出を控える
- 外出時はマスク・ゴーグルを着用
- 帰宅後はすぐに着替えてシャワーを浴び、室内に花粉を持ち込まない
- 洗濯物は室内干しにする
ただし、環境対策だけで症状を完全にコントロールすることは難しいため、薬物療法との組み合わせが重要です。
薬による治療
症状の種類や程度に合わせて、以下の薬を組み合わせて使用します。
| 薬の種類 | 主な効果 |
|---|---|
| 抗ヒスタミン薬(内服) | くしゃみ・鼻水・目のかゆみを抑える |
| ロイコトリエン受容体拮抗薬 | 鼻づまりを改善する |
| 点鼻ステロイド薬 | 鼻の炎症を直接抑える |
| 抗ヒスタミン点眼薬 | 目のかゆみ・充血を改善する |
抗ヒスタミン薬は種類によって眠気の出やすさが異なります。学校や仕事への影響を考慮しながら、医師と相談して薬を選ぶことが大切です。
注射薬による治療(ゾレア®)
内服薬や点鼻・点眼薬を使っても十分な効果が得られない中等症以上の花粉症の方には、注射薬「ゾレア®」による治療が選択肢となります。
ゾレア®はアレルギー反応の引き金となるIgE抗体をブロックすることで、花粉症の症状を抑えます。花粉シーズン(1月〜4月)に月1〜2回の注射で対応します。
対象となる方(すべての条件を満たす方)
- 12歳以上、体重20〜150kg
- スギ特異的IgE抗体価がクラス3以上、かつ総IgE値が30〜1500 IU/mL
- 抗ヒスタミン薬・ステロイド点鼻薬などの標準治療で十分な効果が得られない方
ゾレア®は症状を抑えるための治療であり、アレルギー体質そのものを変える根本的な治療ではありません。また費用が高額になる場合があります。高額療養費制度の対象となることがありますので、詳しくは受診時にご相談ください。
舌下免疫療法(根本的な治療を目指す方へ)
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質を少量ずつ体に取り込むことで、アレルギー反応を起こしにくい体質へと変えていく治療法です。スギ花粉症・ダニアレルギーに対する唯一の根本的な治療法として注目されています。
対象となる方
- 抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬を使っても症状が改善しない方
- 中等症以上の症状がある方
- 5歳以上(小児から対応可能)
使用する薬剤
- スギ花粉症:シダキュア®
- ダニアレルギー:ミティキュア®
約7割の方に鼻炎症状の改善が見られ、他の内服薬や点鼻薬を使わずに過ごせるようになる方も多くいます。また、ミティキュア®は気管支喘息への治療効果も期待できます。
治療の流れ 初回は院内で20〜30分の経過観察を行います。その後は毎日自宅で、薬を舌の裏側に1分間保持してから飲み込みます。服用後5分間は飲食を避け、1〜2時間は激しい運動や入浴を控えましょう。
効果を十分に引き出すためには、最低3年間の継続が推奨されています。なお、シダキュア®はスギ花粉の飛散時期(1月〜4月)には治療を開始できません。
副反応について 口・喉のかゆみや違和感、唇の腫れ、耳のかゆみなどが報告されています。まれにアナフィラキシーが起こる場合もあるため、初回は必ず院内で投与します。体調不良時・口内に傷や炎症があるとき・歯が抜けた直後は服用をお休みください。1週間以上休んだ後に再開する場合は、副反応が出やすくなるため、必ず当院にご相談ください。
まとめ
アレルギー性鼻炎・花粉症は、症状の程度や原因に応じて、環境対策・薬物療法・注射・舌下免疫療法と幅広い治療の選択肢があります。「毎年つらい花粉症を根本から改善したい」「子どもの鼻炎が長引いている」「薬を飲み続けることに不安がある」など、どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。アレルギー専門医が症状やライフスタイルに合わせて、最適な治療をご提案します。
