健康診断で異常が指摘されたら
毎年受ける健康診断で「要再検査」や「要精密検査」と書かれていたら、不安になったり、つい見なかったことにしたくなったりする方も多いと思います。健診の異常は、“今すぐ治療が必要”というよりも、“将来の大きな病気を防ぐためのサイン”であることがほとんどです。健診で異常が指摘されたときにどうすればよいかを、わかりやすくお伝えします。
健康診断の「異常」とは?
健診の結果は、あくまで“スクリーニング(ふるい分け)”です。
つまり、すべての人を一律の基準で調べて、精密検査が必要な可能性のある方を見つけることが目的です。したがって、「要再検査」や「要精密検査」があっても、すぐに病気と決まったわけではありません。
ただし、放っておくと病気を見逃す可能性があるため、きちんと医療機関で相談することが大切です。
異常があったときにするべきこと
-
まずはかかりつけ医や専門のクリニック、病院などへ相談
健診結果をもとに、どの検査を優先するべきか、何科にかかるべきかを一緒に考えます。 -
「再検査」「精密検査」の案内がある場合は、それに従いましょう
特に血糖や血圧、心電図、胸部X線、便潜血などの異常は、早めの確認が勧められます。 -
健診結果は持参しましょう
結果票のコピーや画像があると、スムーズに診察が進みます。
当院で対応可能な健康診断の再検査項目
心電図異常
何らかの心電図異常が見つかった場合、再度心電図を確認したうえで、必要に応じて24時間ホルター心電図や心臓超音波検査(心エコー)を行い、不整脈、心機能異常、弁膜症などの精査が可能です。
血圧の異常(高血圧)
血圧が高いと指摘された場合、まずは自宅での血圧測定を数日間行っていただき、継続的な高値があるかを確認します。重度であれば内服治療を早期に開始することもありますが、軽度の場合は生活習慣の見直しを含めて丁寧に判断していきます。
血糖値(糖尿病・糖尿病予備軍)
血糖値の異常には、「糖尿病」と診断される場合と、「糖尿病の疑い」の段階に分かれます。
糖尿病と診断された場合には、食事指導・運動療法に加え、患者様の状態に合わせた薬物療法を提案いたします。近年は、心臓や腎臓にも良い影響を与える新しい薬が登場しています。
糖尿病が疑われる段階であれば、定期的な採血や診察によるフォローが必要です。また、必要に応じてジュースを飲んでいただき採血を行うブドウ糖負荷試験を行い、診断を明確にしていきます。
コレステロールの異常
LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の高値が見つかった場合、まずは再検査と他の病気の有無を確認します。その上で、食事・運動指導を中心とした生活習慣の改善を行い、場合によっては早期からの内服治療も検討します。
尿酸値(高尿酸血症)
尿酸値が高いと「痛風」のリスクがあります。
・痛風発作の既往がある場合:尿酸値が7.0以上で内服を検討します。
・発作の既往がない場合:尿酸値が8.0以上で内服の対象となることがあります。
生活習慣の見直しを基本としつつ、必要に応じて治療をご提案します。
肝機能の異常(AST, ALT, γ-GTPなど)
当院では、再度の採血(追加項目を含む)に加えて、腹部超音波検査も行い、肝臓や胆のうの状態を詳しく確認することができます。異常が持続する場合は、画像センターや専門病院へご紹介します。
腎機能(クレアチニンなど)
腎機能の低下は進行すると透析治療をしなければならないなど重篤な状態に至ることがあります。
当院では、尿検査や追加採血で腎機能の再評価が可能です。状態によっては、将来の透析治療になってしまわないように、腎臓を守る内服治療をご提案することもあります。
便潜血(陽性)
便に血液が混じっているサインです。大腸がんやポリープ、痔などの可能性があります。
便潜血が陽性の場合は、胃カメラ・大腸カメラによる精密検査が推奨されますが、当院にはカメラ設備がないため、連携先の医療機関へご紹介させていただきます。
健康診断で異常を指摘された場合は、放置せずに、治療が必要かどうかを医療機関でしっかり相談しましょう。
異常があってもすぐに治療が必要なわけではなく、経過観察でよいケースもあります。その判断を医師と一緒にすることが大切です。
当院では、健康診断で見つかった検査異常に対する診療も行っております。ご不安な点やご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。